デジタル大辞泉
「一家」の意味・読み・例文・類語
いっ‐け【一家】
1 一軒の家。いっか。
2 家族全体。一家族。いっか。
「―四人のものがふだんのように膳に向かって」〈鴎外・阿部一族〉
3 同じ家系の者全体。または、それに家来や雇い人をも含めた全体。同族。同門。一族。一門。
「親しき―の一類はらから集めて」〈宇治拾遺・一三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いっ‐け【一家】
〘名〙
※天草本平家(1592)一・一「カノ キヨモリ ノ
go(ゴ) icqe
(イッケ) ノ ヒトビト ト サエ イエバ」
※
読本・
椿説弓張月(1807‐11)後「義康一家
(イッケ)の好
(よしみ)を忘れず」
③ その家に住んでいる者。また、その家にあるもののすべて。
家中。一家中。
※天草本伊曾保(1593)イソポの
生涯の事「ycqeno
(イッケノ) ザイホウヲ コトゴトク マイナイニ シンジョウズ」
いっ‐か【一家】
〘名〙
① 一つの家。一軒。いっけ。
※延喜式(927)三七「一家有レ薬、一里無レ病」 〔淮南子‐説林訓〕
② 一家族。一門。また、家族全体、一門すべて。いっけ。
※本朝麗藻(1010か)下・感勘解藤相公賢郎茂才蒙課試之綸旨聊呈鄙懐〈
源孝道〉「万里青雲双脚下、一家栄耀孔懐中」
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「吉田屋の一家袖をぞぬらしける」 〔礼記‐礼運〕
③
学問、芸術、技術などの独立した一流派。独自の
一派。また、一方の権威。独自の存在。独特の一つの風格を持つもの。
※
史記抄(1476‐80)一〇「左丘明が文章でこそあれ、司馬遷が一家の事ではあらばやぢやほどに」 〔
晉書‐荀崧伝〕
④ ばくちうちなどの
親分と、その杯を受けた子分とでつくる特殊な団体。
ひとつ‐や【一家】
[1] 〘名〙
① 人里はなれた山野などにぽつんと一軒だけある家。
一軒家。
ひとついえ。
※俳諧・伊勢正直集(1662)五「壱つ屋も月影にもつ隣哉〈作者不知〉」
② 同一の家。同じ家。ひとついえ。
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)市振「一家に遊女もねたり萩と月」
[2]
[一] 武蔵国浅茅原(あさじがはら)にあったという一軒屋。一人の老婆が住み、旅人を泊めては殺していたが、観音の力によって悔悟したという伝説がある。
[二] (一つ家) 歌舞伎脚本。時代物。一幕。河竹黙阿彌作。明治二三年(一八九〇)東京市村座初演。(一)の劇化。新古演劇十種の一つ。
ひとつ‐いえ ‥いへ【一家】
〘名〙
① 一戸の家。
※土左(935頃)承平五年二月一六日「なかがきこそあれ、ひとついへのやうなれば」
※舞姫(1906)〈与謝野晶子〉「春の夜の夢のみたまとわが魂(たま)と逢ふ家らしき野のひとつ家(イヘ)」
ひと‐いえ ‥いへ【一家】
〘名〙 家中。一家全部。
※栄花(1028‐92頃)花山たづぬる中納言「いかにいかにとひといゑおぼし歎く程に、天祿三年十一月の一日かくれ給ぬ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の一家の言及
【家】より
…その結果が明治以降の天皇制家族国家の確立である。天皇家を総本家とする一国一家の挙国体制であった。国家という権力機構が骨肉の愛情関係をよそおう。…
【氏族】より
…日本中世の族縁呼称の一つであるが,史料の上では,[一族],一家,一流などと混用されている場合が多く,はっきりした区別はまだつけられていない。しかし,一族,一家という族縁呼称がある一定の所領を共同知行し,その土地の地名をもってみずからの〈名字〉としている〈名字族〉という性格をもつのに対して,これら名字族がもとをただせば,藤原氏あるいは橘氏,大伴氏であるなどといわれる場合の側面を表現したものこそ,この氏族という呼称の本来のあり方だと考えるべきである。…
※「一家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」