一樹の陰一河の流れも他生の縁(読み)イチジュノカゲイチガノナガレモタショウノエン

デジタル大辞泉 の解説

一樹いちじゅかげ一河いちがながれも他生たしょうえん

一河いちがの流れをむも他生の縁」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 の解説

いちじゅ【一樹】 の 陰(かげ)一河(いちが)の流(なが)れも他生(たしょう)の縁(えん)

知らぬ者同士が、雨を避けて同じ木陰に身を寄せ合うのも、あるいは同じ川の水をくんで飲み合うのも、前世からの因縁によるものだということ。
海道記(1223頃)西帰一樹の陰、宿縁浅からず」
平家(13C前)七「一樹の陰に宿るも、先世の契(ちぎり)あさからず。同じ流をむすぶも、多生の縁猶(なほ)ふかし」
[語誌]仏教的な表現だが、漢訳仏典には用例がなく日本で作られたものか。「平家物語」(覚一本で四例)や謡曲に多く使われたため、中世近世文学に広まったと考えられる。

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ことわざを知る辞典 の解説

一樹の陰一河の流れも他生の縁

単なる偶然や特に意味がないと思われることでも、実は前世からの深いつながりがあること。

[使用例] 縁は不思議なもので、もしこの竹垣が破れていなかったなら、吾輩はついに路傍に餓死したかもしれんのである。一樹の蔭とはよく言ったものだ。この垣根の穴は今日に至るまで吾輩の隣家の三毛を訪問する時の通路になっている[夏目漱石*吾輩は猫である|1905~06]

[解説] 仏教的表現だが、漢訳仏典には用例が見当たらず、日本で作られたものか。

[類句] 袖振り合うも多生の縁

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