七種(読み)ナナクサ

デジタル大辞泉 「七種」の意味・読み・例文・類語

なな‐くさ【七種/七草】

7種類。なないろ。また、いろいろ。
春の七草」のこと。せりなずな御形ごぎょう蘩蔞はこべ仏座ほとけのざすずな蘿蔔すずしろ 新年》
秋の七草」のこと。はぎ尾花おばなくず撫子なでしこ女郎花おみなえし藤袴ふじばかま桔梗ききょう
七種の節句」の略。
[類語]春の七草秋の七草

しち‐しゅ【七種】

七つの種類。
七夕たなばた祭りに供える七つの品物。7の数にちなむものを供える。

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精選版 日本国語大辞典 「七種」の意味・読み・例文・類語

なな‐くさ【七種・七草】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 七つの種類。なないろ。また、いろいろ。
      1. [初出の実例]「将来(もてきた)る物は、羽太玉(はふとのたま)一箇(ひとつ)、〈略〉日鏡一面(つ)、熊(くま)の神籠(ひもろき)一具(ひとそなへ)、并(あは)せて七物(ナナクサ)あり」(出典:日本書紀(720)垂仁三年三月(北野本訓))
    2. 秋の七草の称。秋の野に咲く、ハギ・オバナ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウの七種をいう。→あき(秋)の七草
      1. [初出の実例]「七くさや酢味曾遁れて秋の花」(出典:俳諧・初心もと柏(1717))
    3. 春の七草の称。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの七種の菜(な)をいう。後世は七草がゆとしてこれらを食べる。→はる(春)の七草
      1. [初出の実例]「春日野のけふなな草のこれならで君をとふひはいつぞ共なし」(出典:類従本赤染衛門集(11C中))
    4. ななくさ(七種)の節供」の略。《 季語・新年 》
      1. [初出の実例]「七種は唐土の鳥のすりえ哉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一)
      2. [その他の文献]〔日次紀事(1685)〕
    5. 七種の節供に、七種の菜をのせた俎(まないた)をたたくこと。また、そのようなさまに物をたたいたり、足拍子をうったりすること。→ななくさを囃(はや)す
      1. [初出の実例]「七種や跡にうかるる朝がらす〈其角〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)四)
  2. [ 2 ] 上方唄曲名。初代津山検校作曲。箏曲にとり入れられたり、長唄に入れられたりしている。
    1. [初出の実例]「碪(きぬた)・すががき・三番叟・三ツ地・七艸(ナナクサ)・祇園囃・犬の吠声・鶏𥧔(にはとりべ)・花火の響きは両国を欺き」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)放屁論)

七種の語誌

五節供の一つ人日(正月七日)に七種の若菜を粥にして食する風習は、中国の「荊楚歳時記」(六世紀初)に見える。日本では正月の初の子の日に小松を引き、若菜の羹を食べたものが、正月一五日の供御の七種粥(米・粟・黍・稗子・葟子(みの)胡麻小豆の七種の穀で作る)と結びつき、中国の影響もあって正月七日の行事になった。


しち‐しゅ【七種】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 七つの種類。
    1. [初出の実例]「慈の心を以て先づ汝を度(た)して七種の道を行ひ、七随眠を断たしめむと」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
  3. 陰暦七月七日の七夕祭に、織女牽牛の二星に供える七つの品物。七百首の詩、七百首の歌、七十韻の連歌、七十韻の連句、七調子の管弦、七百の数の鞠、七献の酒など、すべて七の数をもつ品物が七種類供えられる。

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