三好豊一郎(読み)みよしとよいちろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三好豊一郎」の意味・わかりやすい解説

三好豊一郎
みよしとよいちろう
(1920―1992)

詩人。東京・八王子市に生まれる。早稲田(わせだ)大学専門部政治科卒業。1947年(昭和22)友人鮎川信夫(あゆかわのぶお)らと『荒地(あれち)』を創刊した。年刊『荒地詩集』などに詩作を発表し、第二次世界大戦後の詩の先導的役割を担った。詩集に『囚人』(1949)、『小さな証(あか)し』(1963)、『三好豊一郎詩集』(1970)などがある。『囚人』所収の「蒼(あお)ざめたVieの犬」は、人間存在の内部と外部を重ね、詩法の出発点を示した。『夏の淵』(1983)で高見順賞を受賞。そのほか、詩集に『林中感懐』(1978)、『寒蝉(かんせん)集』(1989)、詩論などに『蜉蝣(かげろう)雑録』(1976)、『近代詩人論 内部の錘(おもり)』(1980)、『幻華山房漫筆』(1984)、児童書に『かっぱの伝説』(1989)などがある。

[角田敏郎]

『『現代日本詩集16 小さな証』(1963・思潮社)』『『三好豊一郎詩集』(1970・思潮社)』『『Spellbound 三好豊一郎詩集』(1975・落合書店)』『『三好豊一郎詩集』(1975・サンリオ出版)』『『林中感懐』(1978・小沢書店)』『『近代詩人論 内部の錘』(1980・小沢書店)』『『夏の淵 詩集』(1983・小沢書店)』『『幻華山房漫筆』(1984・小沢書店)』『『寒蝉集 詩集』(1989・書肆山田)』『久米宏一絵『絵本・どうぶつ伝説集 かっぱの伝説』(1989・すばる書房)』『『蜉蝣雑録』(1993・小沢書店)』『黒田三郎著『三好豊一郎』(『現代の詩と詩人』所収・1974・有斐閣選書)』『加島祥造編著『寄友』(2000・書肆山田)』『岡本勝人著『ノスタルジック・ポエジー――戦後の詩人たち』(2000・小沢書店)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三好豊一郎」の解説

三好豊一郎 みよし-とよいちろう

1920-1992 昭和時代の詩人。
大正9年8月25日生まれ。鮎川信夫らとまじわり,戦時下に詩誌「故園」を発行。昭和22年「荒地(あれち)」創刊に参加。24年刊の第1詩集「囚人」は戦後詩の先駆をなした。58年「夏の淵(ふち)」で高見順賞。平成4年12月12日死去。72歳。東京出身。早大専門部卒。

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