三従(読み)さんじゅう

精選版 日本国語大辞典 「三従」の意味・読み・例文・類語

さん‐じゅう【三従】

〘名〙 女性が従うべきとされた三つの道。仏教や儒教道徳でいわれたもの。家にあっては父に従い、嫁(か)しては夫に従い、夫が死んだあとは子に従うという女性としての心がまえを教えたことば。女は三従。さんじゅ。さんしょう
※勝鬘経義疏(611)序「則為阿踰闍友称夫人三従之礼」 〔和俗童子訓(1710)〕 〔儀礼喪服
[語誌](1)「儀礼‐喪服篇」から出たことば。五障(女は梵天帝釈天、魔王、転輪聖王仏身になれないという障害)と共に女の宿命とされてきた。
(2)「文明本節用集」や「日葡辞書」はサンショウとしている。

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デジタル大辞泉 「三従」の意味・読み・例文・類語

さん‐じゅう【三従】

《「儀礼」喪服から》昔、婦人の守るべきものとされた三つの事柄。結婚前には父に、結婚後は夫に、夫の死後は子に従うということ。

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改訂新版 世界大百科事典 「三従」の意味・わかりやすい解説

三従 (さんじゅう)
sān cóng

中国で女性の生涯を通じての従属的地位を表した道徳的教え。《儀礼(ぎらい)》や《礼記(らいき)》など儒学古典根拠をもち,婦人は〈いまだ嫁せずして父に従い,すでに嫁して夫に従い,夫死して子に従う〉べきものとされた。〈七出〉(三不去七出)とともに,男性中心の考え方であるが,同時にこれが女系を排除する宗族を存続させる意識に裏づけられた思想であることに注意すべきである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三従」の意味・わかりやすい解説

三従
さんじゅう
San-cong

中国で,古来用いられた婦人の生涯に対する箴言 (しんげん) 。『礼記』や『儀礼』などにもみえる。女性は「幼にしては父兄に従い,嫁しては夫に従い,夫死しては (老いては) 子に従う」ものとされ,家庭のなかにおける婦人の従属性を示す言葉。男性中心の儒教道徳から生れた女性道徳の原則。

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普及版 字通 「三従」の読み・字形・画数・意味

【三従】さんじゆう

婦人の道。

字通「三」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の三従の言及

【五障】より

…女性差別につながる見方である。三従(さんしよう)(幼時は親に,結婚すれば夫に,老いては子にそれぞれ従う)と連用して,五障三従といわれる。また修道上の五つの障害を指す場合もある。…

※「三従」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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