上戸下戸(読み)じょうごげこ

改訂新版 世界大百科事典 「上戸下戸」の意味・わかりやすい解説

上戸・下戸 (じょうごげこ)

上戸は酒を多く飲む人,下戸は酒が飲めぬ人をいう。いずれも平安時代には使われていた語で,上戸は《大鏡》,下戸は《色葉字類抄》に見られる。また,《西宮記》などでは上戸ではなく高戸(こうこ)という呼び方をしている。中国では唐代以前から〈大戸・小戸(たいこしようこ)〉という呼び方があり,高戸の語も使われていた。上戸,下戸の語はそれらからの変化と思われる。室町期の《酒飯論(しゆはんろん)》には〈中戸(ちゆうこ)〉という語も見える。この絵巻ことばがきは一条兼良の戯作ともされているが,大上戸の造酒正(みきのかみ)糟屋朝臣長持と,最下戸の飯室律師好飯という僧を登場させて,酒と飯との徳を論じ合わせ,最後に中左衛門大夫仲成なる人物をして〈中戸に過ぎたるものぞなき〉と,酒も飯もともにほどほどに楽しむのが最上だといわせている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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