上限(読み)じょうげん

精選版 日本国語大辞典 「上限」の意味・読み・例文・類語

じょう‐げん ジャウ‥【上限】

〘名〙
① 上の方の限界。⇔下限
※現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉I「価格の上限は、新しい企業が産業外から侵入し、競争にうって出て産業を混乱におとし入れることのないような価格であった」
時代や日時の、古い方の限界。
数学でいう。
(イ) 実数集合の、どの元(げん)よりも小さくない数のうち最小のものの、もとの集合に対する称。
(ロ) 定積分の上の限界。たとえば、f(x) という関数をaからbまで積分するとき、bをその積分の上限とよぶ。上端。⇔下限

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デジタル大辞泉 「上限」の意味・読み・例文・類語

じょう‐げん〔ジヤウ‐〕【上限】

上の方の限界。「免税額の上限を引き上げる」⇔下限かげん
時代の古いほうの限界。「近世上限安土桃山時代とする」
数学で、
上界のうちで最小の数。もとの集合に対していう。
㋑定積分で、積分区間上の限界。上端。⇔下限
[類語]限界限度極限限り最大限手一杯目一杯頭打ち際限きわ下限北限ぎりぎりリミット

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改訂新版 世界大百科事典 「上限」の意味・わかりやすい解説

上限 (じょうげん)
supremum
least upper bound

実数からなる集合Eが上に有界であるとき,E上界のうちで最小のものが実数の中に存在する。この最小上界をEの上限という。上限は集合Eに属するとは限らない。上限aEに属するとき,aEの最大の元である。集合Eの上限aは次の二つの性質によって特徴づけられる。(1)Eのどの元もaより大きくない。(2)aより小さいどんな数bに対してもEに属する元でbより大きい元が存在する。例えば,E={1-nは自然数}の上限は1であり,これはEに属さない。下限infimum(greatest lower bound)も大小関係を逆にして同様に定義され,aEの上限であれば,-aは{-xxE}の下限である。一般に,集合M上で定義された実数値関数fx)の,M上の値全体の集合fM)が上に有界であるとき,集合fM)の上限をまた,下限はと表す。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上限」の意味・わかりやすい解説

上限
じょうげん

順序集合Sにおいて、その部分集合Mが上に有界、すなわち、ある要素aがあって、Mのどの要素xに対してもxaであるとき、このようなaMの上界という。上界のうちで最小のものがあるときは、これをMの上限supremumといい、記号でsupMと表す。実数の集合については、上に有界な集合は必ず上限を有する。

[竹之内脩]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上限」の意味・わかりやすい解説

上限
じょうげん
least upper bound; supremun

順序集合 M の部分集合 A が上に有界であるとき,そのすべての上界の集合に最小元があれば,これを M の上限という。つまり,文字どおり,上の限界のことである。 A が下に有界であって,そのすべての下界の集合に最大元があるときは,これを M の下限という。 M の上限は supM あるいは lubM ,下限は infM あるいは glbM と書かれる。

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パラグライダー用語辞典 「上限」の解説

上限

その機体サイズで飛行できる上の限界、つまり最大飛行重量のことを口語にした場合の表現。「上限で乗っている」「その機体の上限はいくつ?」など。

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