中平康(読み)ナカヒラコウ

デジタル大辞泉 「中平康」の意味・読み・例文・類語

なかひら‐こう〔‐カウ〕【中平康】

[1926~1978]映画監督東京の生まれ。石原裕次郎主演「狂った果実」で監督デビュー。青春映画コメディーなど、幅広く手がけた。代表作牛乳屋フランキー」「美徳のよろめき」「紅の翼」「あいつと私」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中平康」の意味・わかりやすい解説

中平康
なかひらこう
(1926―1978)

映画監督。大正15年1月3日、東京市北豊島郡(現、北区)滝野川に生まれる。1948年(昭和23)東京大学文学部美学科を中退して松竹大船撮影所に助監督として入社。1954年に日活に移り、1956年に監督として『狂った果実』を発表する。この作品はシャープな映像感覚で注目され、フランスで上映されてフランソワ・トリュフォー監督なども賞賛している。まもなくフランスをはじめ、日本でも若手の監督たちによるヌーベル・バーグの動きが生じるが、この作品はそのはしりと評価することもできる。その後も『牛乳屋フランキー』(1956)、『紅の翼』(1958)、『泥だらけの純情』(1963)、『猟人日記』(1964)などの佳作を発表。しかし中平康が本領を発揮した作品としては、1964年の『砂の上の植物群』と、とくに『おんなの渦と淵と流れ』をあげるべきであろう。破滅型のエロチシズムの世界である。昭和53年9月11日没。

佐藤忠男

資料 監督作品一覧

狂った果実(1956)
狙われた男(1956)
夏の嵐(1956)
牛乳屋フランキー(1956)
街燈(1957)
殺したのは誰だ(1957)
誘惑(1957)
美徳のよろめき(1957)
四季の愛欲(1958)
紅の翼(1958)
才女気質(1959)
その壁を砕け(1959)
密会(1959)
「キャンパス110番」より 学生野郎と娘たち(1960)
地図のない町(1960)
あした晴れるか(1960)
あいつと私(1961)
アラブの嵐(1961)
当りや大将(1962)
若くて、悪くて、凄いこいつら(1962)
危(ヤバ)いことなら銭になる(1962)
泥だらけの純情(1963)
俺の背中に陽が当る(1963)
現代っ子(1963)
光る海(1963)
月曜日のユカ(1964)
猟人日記(1964)
砂の上の植物群(1964)
おんなの渦と渕と流れ(1964)
現代悪党仁義(1965)
黒い賭博師(1965)
野郎に国境はない(1965)
結婚相談(1965)
黒い賭博師 悪魔の左手(1966)
赤いグラス(1966)
喜劇 大風呂敷(1967)
青春太郎(1967)
ザ・スパイダースの大進撃(1968)
栄光への反逆(1970)
闇の中の魑魅魍魎(ちみもうりょう)(1971)
混血児リカ(1972)
混血児リカ ひとりゆくさすらい旅(1973)
変奏曲(1976)

『中平まみ著『ブラックシープ 映画監督「中平康」伝』(1999・ワイズ出版)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中平康」の解説

中平康 なかひら-こう

1926-1978 昭和時代後期の映画監督。
大正15年1月3日生まれ。昭和23年松竹に入社,29年日活にうつる。31年石原裕次郎主演の「狂った果実」が監督デビュー作。「紅の翼」「美徳のよろめき」などで評価をうける。43年独立。昭和53年9月11日死去。52歳。東京出身。東大中退。作品に「街灯」「地図のない町」「砂の上の植物群」など。

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