久しい(読み)ヒサシイ

デジタル大辞泉 「久しい」の意味・読み・例文・類語

ひさし・い【久しい】

[形][文]ひさ・し[シク]
長い時間がたっている。「―・く姿を見ない」「故郷を離れてから―・い」
しばらくぶりである。久しぶりである。「これはまた、お―・いことで」
時間がかかっている。
「いと苦しげにややみて、―・しくおりてゐざり入る」〈宿木
ありふれている。代わりばえがしない。
「金平ごばうも―・いもんだ」〈洒・四十八手〉
なじみである。
「家―・しき者ばかり召しよせられ」〈浮・織留・三〉
[派生]ひさしさ[名]
[類語]久し振り久久久方振りしばらくぶりしばらく遠いとこしえとこしなえ永久永遠とわ永世恒久悠久悠遠長久不変常磐ときわ永劫えいごう永代久遠くおん無限無窮不朽万代ばんだい不易万世万古不易千古不易

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「久しい」の意味・読み・例文・類語

ひさし・い【久・尚】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ひさ〘 形容詞シク活用 〙 長い時間が経過するさま。
  2. 時が長くたっている。また、行く末長い。永遠である。
    1. [初出の実例]「天地の共に比佐斯久(ヒサシク)言ひ継げと此の奇魂(くしみたま)敷かしけらしも」(出典万葉集(8C後)五・八一四)
    2. 「久しうなりにける昔の例など引きいでて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
  3. 物事をするのに多くの時間を費やす。暇がかかっている。
    1. [初出の実例]「とみにていり炭おこすも、いとひさし」(出典:枕草子(10C終)一六〇)
  4. しばらくぶりである。
    1. [初出の実例]「今日しも、おぼろけにひさしくすます御髪のやうに、すまし乾(ほ)さむ程命短からん人は、え対面たまはらじかし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
  5. いつも見たり聞いたり、接したりしているさま。
    1. (イ) なじみ深い。
      1. [初出の実例]「亭主は久しい客のこと、よしあしの返答なく」(出典:浄瑠璃・曾根崎心中(1703))
    2. (ロ) いつもの通りである。あたりまえで陳腐である。ありふれている。
      1. [初出の実例]「色々御異見ありけれども、久しいもんじゃ」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)

久しいの補助注記

接尾語「さ」が付く場合、シク活用であれば「ひさしさ」となるが、ク活用の場合は「ひささ」となる。「万葉集」等に「いくひささ(幾久)」の形が見られること、また、「観智院本名義抄」の「奄」に「ヒサク」の読みがあることなどから、古くはク活用であったという可能性もある。

久しいの派生語

ひさし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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