排泄(はいせつ)必要量に比して異常に尿量が少ない状態をいう。尿の1日量が、物質代謝の最終産物(老廃物)を体内から除去するのに十分でない状態である。1日の尿量が400ミリリットル以下と定義されることもあるが、尿量は通常、飲量および腎(じん)(臓)の濃縮力によって異なるので、何ミリリットル以下の場合を乏尿というように定義することはできない。糸球体濾過(ろか)値が減少し、正常では腎から排泄されるはずの尿素、クレアチニン、リン酸塩、硫酸塩などの内因性代謝産物が急速に貯留されることになる。原因は次の四つに分類される。〔1〕腎前性(脱水、ショック、降圧剤の過剰投与、心不全など)、〔2〕血管性(解離性動脈瘤(りゅう)、悪性高血圧など)、〔3〕腎実質性または腎内性(糸球体腎炎、急性尿細管壊死(えし)など)、〔4〕腎後性(単腎者の尿路結石、両側性尿管結石など)である。
[中村 宏]
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[尿の性状]
体内組織タンパク質,ヘモグロビン,ミオグロビンの崩壊産物であるウロクロームにより麦わら色を呈する。健康人では1日に尿中に排出されるウロクロームの量は一定であるので,尿の色調は多尿時にはうすく,乏尿時には濃い。熱性疾患など組織タンパク質の崩壊が亢進する際には濃い色調の尿となる。…
※「乏尿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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