デジタル大辞泉
「乞丐」の意味・読み・例文・類語
かた‐い〔‐ゐ〕【乞=丐】
1 こじき。ものもらい。
「―どもの、坏、なべなど据ゑてをるも、いとかなし」〈かげろふ・上〉
2 人をののしっていう語。物知らず。ばか者。
「この楫取りは、日もえ計らぬ―なりけり」〈土佐〉
3 かつてハンセン病、また、その患者をいった語。かったい。
[補説]「傍居」の意というが、また、「片居」で、不完全な姿ですわっている者の意からとも。
こつ‐がい【▽乞×丐】
物乞いをすること。また、その人。こじき。乞丐人。
「父母ありしかども皆死にて相知れる人もなし。然れば寄り付く方なくて、かかる―をばするなり」〈今昔・二・二四〉
きっ‐かい【▽乞×丐】
物乞い。乞食。こつがい。
「何故、仙にして、―をして歩くか」〈芥川・仙人〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かった‐い ‥ゐ【乞丐】
〘名〙 (「かたい(乞丐)」の変化した語)
※
発心集(1216頃か)二「諸のかったゐをあはれみて、朝夕物をとらす」
※玉塵抄(1563)一五「かったいは眉がないぞ」
③ (もしも誓いを破ったならば、②になってもよいという
気持から) みずから誓っていうことば。びゃくらい。
※
評判記・
難波鉦(1680)一「もはやかたさまのやうなとのたちは、びゃくらい、がったい、いやでござんす」
※山谷詩集鈔(1647)八「ここ
もとにふたうなものを、やれかったいと云やうなこころぞ」
こつ‐がい【乞丐・乞・乞】
〘名〙 (「こつ」は「乞」の
慣用音) 貧して
他人に
金銭や
物品を乞うこと。また、その人。こじき。ものもらい。乞丐人。きっかい。かたい。
※今昔(1120頃か)二〇「息の下に、乞
に候ふと荅
(こたふ)」
きっ‐かい【乞丐】
〘名〙 (「丐」も乞うの意) ものを乞うこと。また、こじき。ものもらい。かたい。こつがい。
※
続日本紀‐天平宝字八年(764)三月己未「東西市頭乞丐者衆」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「乞丐」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
世界大百科事典(旧版)内の乞丐の言及
【乞食】より
…つまり都市や農村に住む民衆にとってこじきとは,生活圏の外から訪れてくる,なかばの期待となかばの恐れとをもって迎えるべき神聖な旅人でもあったのである。【真野 俊和】
[中国]
中国ではこじきは一般に〈乞丐(きつかい)〉と呼ばれ,また仏教で俗に施物を乞うことを〈教化〉といったことから,転じて〈叫化子〉あるいは〈叫花子〉〈花子〉とも称された。貴賤の観念からすると,〈娼,優,隷,卒〉すなわち娼妓,俳優,小役人,兵卒が賤流とされたのに対して,こじきは社会的にその範疇にはいらないが,決して敬われる存在ではなかった。…
※「乞丐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」