乱り(読み)ミダリ

デジタル大辞泉 「乱り」の意味・読み・例文・類語

みだり【乱り/妄り/×猥り/濫り/漫り】

[形動][文][ナリ]《五段活用動詞「みだ(乱)る」の連用形から》
秩序を無視するさま。自分勝手であるさま。「―に高山植物を採取する」
軽率に、また、度を過ごして物事をするさま。むやみやたら。「―な言動は慎みなさい」「―に金を遣う」
みだら」に同じ。〈和英語林集成
道理に反するさま。筋道が通らぬさま。
「国の成敗―なるによりて」〈太平記・三八〉
[類語]やたらむやみ無性にむやみやたらめったやたらめったやみくもあまり無下に後先なし無謀無鉄砲めくら滅法盲目的後先見ず向こう見ず命知らず破れかぶれやけ自暴自棄ふてくされるやけくそやけっぱち自棄捨て鉢八方破れ無軌道放埒ほうらつ放縦放逸奔放野放図勝手次第好き勝手ほしいまま切実切切痛切つくづくつらつらひしひししみじみこころからしんから心が動くこよなくぞっこんじいん度外れめっぽう途方もない途轍とてつもない桁違い過度すごくひどいはなはだこの上ないとても特別ことさらひたすら

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精選版 日本国語大辞典 「乱り」の意味・読み・例文・類語

みだり【乱・妄・濫・猥・漫】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 秩序を無視するさま。道理がたたないさま。
    1. [初出の実例]「勢を恃む男有りて、浪(ミタリ)に他(ひと)の女(むすめ)に要(ことむす)ひて」(出典:日本書紀(720)孝徳・大化二年三月(北野本訓))
  3. 思慮分別を欠いているさま。いいかげんであるさま。
    1. [初出の実例]「長悪に群居して忘(ミダリニ)威福を行ぜり」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  4. しかるべき根拠、理由がないさま。
    1. [初出の実例]「白河の滝の糸見まほしけれどみだりに人はよせじものをや〈中務〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)雑一・一〇八六)
  5. 節度を失しているさま。度を過して、むやみやたらであるさま。
    1. [初出の実例]「人周く知らず。みだりに説くべからず」(出典:無名抄(1211頃))
  6. 他から規制されず、自分の意志のままであるさま。勝手気ままであるさま。
    1. [初出の実例]「慎(ゆめ)黄泉の事を忘(ミダリニ)宣べ伝ふること勿かれ。〈興福寺本訓釈 忘 見太利爾〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  7. 礼儀、作法にもとるさま。
    1. [初出の実例]「悪しき心を(おこ)して、監に法師を詈(の)り、令耻たる故に」(出典:今昔物語集(1120頃か)一六)
  8. 特に男女関係、性について慎みのないさま。みだら。
    1. [初出の実例]「人目の関を忍兼つつ、したひ来るも多かりしが、〈略〉みだりなる事怪我にもなし」(出典:談義本・根無草(1763‐69)後)

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