出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
魚、肉、海藻、野菜などを日光や熱風などで乾かし、水分を少なくした比較的保存性のある食品の総称である。また植物性の食品の乾燥物のみをさすことがある。この場合、魚は干し魚または干物、肉は干し肉といった呼び方で区別する。食品類は水分が40%以下になると、微生物の繁殖や食品中の酵素の働きはやや緩やかとなり、水分15%以下になると、ほぼこれらの活動は休止に近い状態となる。さらに水分が10%以下になると、ほとんど微生物や酵素による変化は停止し、かなり長期の保存に耐えるようになる。
なまのものを保存するのに乾燥させるのがよいことは、原始時代すでに知られていたものと思われる。とくにほかの適当な保存方法が発見されるまでの間、乾物として保存することは唯一の手段であった。日本の古い時代をみても、するめ、昆布、干しあわびといった海産物の乾物が多く用いられているし、ヨーロッパでも干しいちじく、干しあんず、干し肉といった果物や肉の乾燥物も多く使われている。現在は各種の新しい乾燥法が発明されており、状態のよりよい各種の乾物がつくられるようになっている。
[河野友美・大滝 緑]
乾燥法としては天日乾燥と人工乾燥がある。天日乾燥は日光あるいは風乾によるが、人工乾燥は熱風乾燥、薫乾などがある。また、魚、肉、果物、野菜、海藻など種類により各種の乾燥法が適用され、できあがった品物にも差異がある。魚貝類では素干し、塩干し、煮干し、調味干し、焼き干し、薫乾、節(ふし)類などがある。素干し、塩干しはアジ、イワシ、イカなど小形の魚に用いられ、煮干しは小イワシをゆでて干したもの、調味干しはイワシ、アジ、サンマなどのみりん干し、焼き干しはトビウオ、フグなど、薫乾はニシンなどに用いられる。節類は魚をゆでて、いぶし乾燥、かび付け、日光乾燥などの併用でつくられ、カツオ節、ウルメイワシ節、サバ節などがある。野菜、果物では、なまのまま干したものはシイタケ、かんぴょう、干葉(ひば)、ダイコン、イチジク、アンズなど、ゆで干しではサツマイモなどがある。このほか、いったん凍結したのち解凍し乾燥する凍り豆腐、凍りこんにゃく、凍り餅(もち)、寒天などがある。海藻類はほとんどが素干しである。肉ではいぶし肉、風乾肉がある。
[河野友美・大滝 緑]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…水分を減少させることによって,細菌類の繁殖をおさえ,腐敗を防げるため,古くから保存食品として重用された。乾物(かんぶつ)も本来は同義であるが,現在では一般に植物性のものを指し,干物と区別することが多い。古代日本では〈からもの(干物)〉と呼び,生鮮魚貝類の少なかった平安京では副食品としてきわめて重要であり,《延喜式》によると都の西の市には干魚の店もあった。…
※「乾物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新