事相(読み)じそう

精選版 日本国語大辞典 「事相」の意味・読み・例文・類語

じ‐そう ‥サウ【事相】

〘名〙
仏語密教で、教義の組織的解釈などを教相というのに対し、修法などのことをさす。
※葉子十行本平家(13C前)一〇「真言宗弘法、暫く我宗には事相教相を居として、即身成仏の義を立て申さる」
② 事のなりゆきのありさま物事様子
※応永本論語抄(1420)堯曰第二〇「時中と云は、未発の理がはや事相に顕れて、事の上に於て過たることもなく、不及こともなきを云」
福翁百話(1897)〈福沢諭吉〉六〇「広く推して社会の交際百般の事相(ジサウ)を律するに足る可きもの多し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「事相」の意味・読み・例文・類語

じ‐そう〔‐サウ〕【事相】

事の成り行きのようす。物事のありさま。
「社会の交際百般の―を律するに」〈福沢福翁百話
密教で、修法灌頂かんじょうなど実践的な面のこと。→教相きょうそう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「事相」の意味・わかりやすい解説

事相
じそう

真言密教における実際修行の面をいう。密教の内容を分類した場合に、教相(きょうそう)と事相との二門となるが、教相とは教理的方面攻究をさし、事相とは実際修行の方法はいかにすべきかを説明する方面をいう。教相は事相の上の原理を説明し、事相は教相の原理のうえにたち事作法(実践行)を行う。したがって、事相・教相は鳥の双翼、車の両輪のように一体でなければならない。

[小野塚幾澄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「事相」の意味・わかりやすい解説

事相
じそう

仏教用語。密教において威儀,行法などの実際上の修法に関することをいう。これに対し教理的な方面を教相といい,両者は表裏一体をなす。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android