二上山(奈良県・大阪府境界)(読み)にじょうさん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

二上山(奈良県・大阪府境界)
にじょうさん

奈良県葛城(かつらぎ)市と大阪府南河内(みなみかわち)郡太子(たいし)町の境界にある鐘状火山。金剛(こんごう)山地北部に位置し、北の雄(お)岳(517メートル)と南の雌(め)岳(474メートル)からなり、山名の由来となる。新第三紀の中新世から鮮新世にかけ活動した瀬戸内火山系に属する二上火山群の主峰で、讃岐(さぬき)岩(サヌカイト)、安山岩などからなり、付近一帯から瀬戸内火山系のほとんどの火山岩類を産出する。雄岳頂上には葛木二上神社(かつらぎにじょうじんじゃ)が鎮座し、謀反の疑いを受け自決した天武(てんむ)天皇第三皇子大津皇子(おおつのみこ)の墓がある。北西には白色の凝灰岩からなる奇勝屯鶴(どんづる)峯があり、山麓(さんろく)を穴虫(あなむし)越、竹内越など奈良盆地と大阪平野を結ぶ古代の交通路が通じる。「ふたかみやま」として『万葉集』などに詠まれ、とくに大津皇子の死を悼んだ姉の大伯皇女(おおくのひめみこ)の「うつそみの人なる我や明日よりは二上山を弟(いろせ)と我が見む」が知られる。

[菊地一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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