デジタル大辞泉
「五重」の意味・読み・例文・類語
いつ‐え〔‐ヘ〕【五重】
1 衣などを5枚重ねること。また、そのもの。
「赤色に桜の―の衣」〈枕・二七八〉
2 「五重の扇」の略。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ご‐じゅう ‥ヂュウ【五重】
〘名〙
① 五つのかさなり。五つの層。また、いくえものかさなり。
※
謡曲・
歌占(1432頃)「
金銀(こんごん)碧瑠璃(へきるり)、ばぎう迦宝
(がほう)の影、五重色空の雲に映る」
② 五重の塔の最上階部。第五重。
※
太平記(14C後)二一「
法勝寺の塔の五重の上に落ち留まる」
※
平家(13C前)五「八万四千の
相好は、秋の月はやく五重の雲におぼれ」
※雑俳・神子の臍(1710)「狸にも五重さづけた
和尚にて」
※
曾我物語(南北朝頃)
一二「虎、夢さめて、ただ現
(うつつ)の心地して、思ひけるは、五ぢうの闇晴れ、
三明の月ほがらかにまします大聖釈尊さへ」
いつ‐え ‥へ【五重】
〘名〙
① 袿
(うちき)などを五枚重ねること。また、袴
(はかま)着用の
形式。
五重襲(いつえがさね)。
※
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日「唯えならぬ三重五えの袿に」
② 五枚重ね着したように見えるふうに、
袖口(そでぐち)、褄
(つま)の
表裏に中陪
(なかべ)三枚を加えて重ね縫いしたもの。
一説に、
地紋の上に
五色の糸で
模様を織り出したものという。五重の
御衣(おんぞ)、五重の
唐衣(からぎぬ)、五重の衣
(きぬ)など。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一〇月一六日「
表着(うはぎ)は菊の五え」
※枕(10C終)八九「いつへはあまり厚くなりてもとなどにくげなり」
いつつ‐がさね【五重】
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「クチバノ itçutçugasane
(イツツガサネ)〔
山中常盤〕」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報