井上駅(読み)いかみのえき

日本歴史地名大系 「井上駅」の解説

井上駅
いかみのえき

古代東海道の駅。「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条に一〇疋の駅馬を備える駅として登載。同条に「ヰカミ」の訓がある。所在は旧千葉郡内の千葉市亥鼻いのはな、旧葛飾かつしか郡内の松戸市松戸、同郡内の東京都墨田区墨田などの諸説があったが、下総国府関連遺跡である市川市市営総合運動場内遺跡・同市下総国分僧寺跡から「井上」の墨書土器が出土したことから、下総国府付近(葛飾郡)に置かれた説が有力となった。なかでも国府推定地南側(東海道が通っていたと考えられる東京湾岸に近い)の低地部分の微高地で、江戸川(古くは太日川)の渡河に適した市川砂洲西端にあたる現在の市川付近が有力視されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android