人類館事件(読み)じんるいかんじけん

改訂新版 世界大百科事典 「人類館事件」の意味・わかりやすい解説

人類館事件 (じんるいかんじけん)

1903年(明治36)3月から7月まで,大阪で開催された勧業博覧会の会場周辺に,〈学術人類館〉と称する見世物小屋が設置され,学術研究資料の名目で〈アイヌ〉〈台湾生蕃〉〈朝鮮人〉〈ジャワ人〉〈トルコ人〉〈アフリカ人〉などとともに,〈琉球人〉の遊女2人が〈琉球の貴婦人〉と銘打って〈展示〉された。同年4月11日付の《琉球新報》は〈特に台湾の生蕃北海のアイヌ等と共に本県人を撰みたるは是れ我を生蕃アイヌ視したるものなり。我に対するの侮辱豈これより大なるものあらんや〉と論じて,糾弾口火を切った。その後約1ヵ月にわたって沖縄の世論沸騰,その結果,〈琉球人〉2人は5月17日に帰県した。この事件は明治期の沖縄差別を象徴する事件であるが,〈アイヌ〉や〈台湾生蕃〉等の〈陳列〉については何の批判も提起されなかった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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