仏教用語。サンスクリット語のブッダダートゥbuddhadhātuの漢訳。「仏の本性」あるいは「仏となるべき因(いん)(もと・要素)」の意で、衆生(しゅじょう)の有している仏と同じ本性をさす。「如来蔵(にょらいぞう)」と同じ。ただ、如来蔵のように、煩悩(ぼんのう)にまつわれて隠れている、という意味は表さない。『涅槃経(ねはんぎょう)』が『如来蔵経』の主張を受けながら、新たに、「一切(いっさい)衆生、悉有(しつう)仏性」と表現したのに始まる。仏性はまた、仏となるべき能力を生まれつきのものとみる点で、「仏の種姓(しゅしょう)」(サンスクリット語でブッダゴートラbuddhagotra)を意味する。それがすべての衆生にあると主張するのが如来蔵思想で、その根拠に仏の一乗の教えをあげる。これに対し、種姓は三乗で異なるとし、菩薩(ぼさつ)と不定(ふじょう)種姓のものにだけ仏となる可能性を認める唯識(ゆいしき)説が対立した。『涅槃経』も「一闡提(いっせんだい)」(謗法不信(ぼうほうふしん)の徒)を無仏性のように扱う。中国・日本では仏性の有無をめぐり、天台・華厳(けごん)などの皆成(かいじょう)説と、法相(ほっそう)宗の一分不成(いちぶんふじょう)説の間で論争が展開し、後者は前者によって「権大乗(ごんだいじょう)」と貶称(へんしょう)された。
[高崎直道]
『常盤大定著『仏性の研究』再刊(1973・国書刊行会)』
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すべての人間が生まれながらにして持っているとされる,仏とまったく同一の本質,本性のこと。大乗仏教では「人々の心は本来清く正しい」とか「すべての人間は仏の子であり,将来に仏となる可能性を持つ」(=如来蔵(にょらいぞう))と説いた。同じ思想が『涅槃経』(ねはんぎょう)では「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」(すべての人が仏の性格を本来的に具えている)として表現される。この考え方は,中国,日本の仏教の展開に大きな影響を与えた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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…なお,この説はものの考え方において,ベーダーンタ学派に近いものがあるとみる学者もいる。 〈如来蔵説〉とは,すべての人々に,如来すなわち仏となりうる可能性があるという主張で,人々が本来もっている〈自性清浄心(じしようしようじようしん)〉に悟りの可能性を見いだして,これを〈如来蔵〉あるいは〈仏性(ぶつしよう)〉と呼ぶ。〈如来蔵〉の原語は,サンスクリットでタターガタ・ガルバtathāgata‐garbhaであり,〈如来の胎児〉を原意とする。…
※「仏性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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