普及版 字通 「令(漢字)」の読み・字形・画数・意味
令
常用漢字 5画
[字訓] みことのり・いいつける・よい・せしめる・たとえ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
礼冠をつけて、いて神意を聞く人の形。古くは令・命の二義に用いた。〔説文〕九上に「號を發するなり。(しふ)卩(せつ)に從ふ」と会意に解する。人を(あつ)めて玉瑞の節(卩)を頒かち、政令を発する意とするが、卜文・金文の字形は、神官が目深に礼帽を著けてく形で、神意を承ける象とみられる。金文に「大令(命)」「天令(命)」のように命の字としても用い、西周後期に至って、祝の器の形をそえて命の字となる。鈴もはじめは令に従って鈴に作り、のちに作る。鈴は神を降し、また神を送るときに用いる。令・命は神意に関して用いる語である。神意に従うことから令善の意となり、また命令の意から官長の名、また使役の意となる。
[訓義]
1. おつげ、神のおつげ。
2. みことのり、ふれ。
3. いましめ、おしえ、いう。
4. よい、ただしい、めでたい。
5. させる、せしめる、いいつける。
6. もし、たとえ。
7. 伶(れい)と通じ、めしつかい。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕令 ヨシ・オホセゴト・カナフ・セシム・ノリ・メス・ツグ・ヲシフ・ヤシナフ 〔字鏡〕令 アツガル・ヲシフ・オホセゴト・セシム・オホス・ツカサドル・ヨシ・ノボル・シム・ツカヒ・ノブ・ツグ・ツグル
[声系]
〔説文〕に令声として囹・伶・領・・冷・零・聆・鈴など十八字を収める。伶・領・聆・鈴など神意を聞く意に関するものと、・冷・零など清冷の意に関するものがある。
[語系]
令lieng、命miengは古くは令の一字で示されており、初期の金文では令をその二義に用いる。領liengは令と同声、神意を承けて領(うなず)くことをいう。・零lyengは声近く、(れい)は多くの祝告を列ねて雨を祈る意。その巫を靈(霊)・lyengという。聆・鈴lyengも同声である。
[熟語]
令胤▶・令格▶・令岳▶・令顔▶・令規▶・令器▶・令儀▶・令君▶・令兄▶・令閨▶・令慧▶・令眷▶・令▶・令厳▶・令士▶・令子▶・令姿▶・令嗣▶・令児▶・令慈▶・令辞▶・令室▶・令質▶・令日▶・令終▶・令淑▶・令準▶・令緒▶・令女▶・令章▶・令条▶・令嬢▶・令色▶・令辰▶・令人▶・令声▶・令政▶・令節▶・令族▶・令孫▶・令尊▶・令台▶・令弟▶・令丁▶・令典▶・令図▶・令徳▶・令範▶・令匹▶・令聞▶・令辟▶・令甓▶・令母▶・令▶・令望▶・令妹▶・令名▶・令問▶・令約▶・令▶・令誉▶・令容▶・令令▶
[下接語]
威令・遺令・応令・仮令・科令・家令・嘉令・戒令・格令・旧令・教令・矯令・禁令・訓令・軍令・月令・県令・憲令・厳令・号令・司令・使令・指令・時令・辞令・省令・詔令・縦令・条令・制令・政令・聖令・設令・善令・勅令・定令・伝令・発令・美令・布令・法令・命令・律令
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報