デジタル大辞泉
「仰山」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ぎょう‐さん ギャウ‥【仰山】
[1] 〘形動〙
① 程度、数量のはなはだしいさま。
※虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐
近世初)「ぎゃうさんなたかごゑしていふによって」
※浮世草子・人倫糸屑(1688)妾狂「澆山(ギャウサン)に見事な奥様や内方(ないはう)をもたれても」
② 行為や言葉などの大げさなさま。誇大。
※虎明本狂言・金岡(室町末‐近世初)「わごりょはぎゃうさんに物をいひなすの」
※浮世草子・
世間子息気質(1715)二「仰山なる張札門柱
(もんばしら)に」
[2] 〘副〙 はなはだしく。はなはだ多く。
※
咄本・軽口曲手鞠(1675)二「ぎゃうさんふるき下帯を」
※浮世草子・
傾城禁短気(1711)五「仰山無理をいはんす」
[語誌](1)「天草本伊曾保物語」「
日葡辞書」などに「ギョウ」という合音形が記され、「明暦刊本句双紙抄」も「げうさんに」と合音形である。また、安原貞室の「かた言‐二」には「ぎゃうぎゃうしきとは、業々敷とかくなれば、ぎゃうさんとは業山
(ゲウサン)とや書侍るべき歟」とある。これらよりすれば、本来は合音形のギョウサン、ゲウサン、ゲフサンのいずれかであろうが、そのどれとは決めがたい。
同源と見られる「ぎょうぎょうしい」とも考え合わせる必要があろう。
(2)「ぎゃうさん(仰山)」の
表記が一般に行なわれるようになるのは、近世に開音形「ぎゃう」と合音形「ぎょう」「げう」などの
区別がなくなってからである。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報