何も(読み)ナニモ

デジタル大辞泉 「何も」の意味・読み・例文・類語

なに‐も【何も】[副詞]

[副]あとに打消しの語を伴う。
全面的に否定する気持ちを表す。まったく。「何も知らない」
取り立ててそう限定する必要もないという気持ちを表す。別段。「何も今日でなくともいいのに」
[類語]何等なんら全然全く一向さっぱりまるきりまるで少しもからきしちっとも皆目一切まるっきりとんといささかも毫も微塵も毛頭更更なんにも何一つ一つとして到底とても全くもってどだいてんで寸分一寸寸毫毫末夢にも

なに‐も【何も】[連語]

[連語](「…も何も」の形で)同類事物を一括して示す。どんなものでも。「仕事何も忘れて休養する」

なん‐も【何も】

[副]なにも」の音変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何も」の意味・読み・例文・類語

なに‐も【何も】

連語〙 (代名詞「なに」に係助詞「も」が付いたもの)
① 雑多な事物・事態を無選択に指示する。また、「…もなにも」の形で、同類のものを包含して列挙するのにも用いる。どんなものでも。どのようなことでも。
大和(947‐957頃)一六八「蓑もなにも涙のかかりたるところは、血の涙にてなむありける」
② 一切の事物・事態を残りなく包含的に指示する。否定表現に用いれば全面否定となる。全部。すべて。全く(…ない)。
徒然草(1331頃)八二「すべて、何も皆、ことのととのほりたるはあしき事なり」
③ (打消を伴って) 一つの判断や行為を、格別そうと限定する必要はないと、否定する気持を表わす。別段(…ではない)。特に(…でない)。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「なにもそんな棚卸をするにはおよばねへよ」
④ (「…もなにも」の形で) 事態や程度をより以上に強調する場合に用いる。…どころではない。
末枯(1917)〈久保田万太郎〉「いくぢがないも何も。━旦那、恥をかかしちゃあいけない」

なんに‐も【何も】

〘副〙 (「なにも」の変化したもの) 否定的表現に用いて、全面的に否定する気持を表わす。一切(…でない)。まったく(…しない)。
※玉塵抄(1563)五「無相宗はなんにもないと心ゆるぞ」
歌謡・松の葉(1703)四・草摺引「五尺八寸の大大刀、片岡風に差しこなし、なんにも喰はねど高楊枝

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