普及版 字通 「倉(漢字)」の読み・字形・画数・意味
倉
常用漢字 10画
[字訓] くら
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
穀物などをおさめる廩倉の形。〔説文〕五下に「の(くら)なり。倉として取りて之れを(おさ)む。故に之れを倉と謂ふ」とあり、倉黄・倉卒の意を以て解するが、倉は(蔵)とその声が近い。また字形について「の省に從ふ。口は倉の形に象る」とするが、(食)は(食器)の形に従うもので、倉とは関係がない。また、いま字を(しゆう)部に属するが、理由のないことである。字は器上に梱包した穀物をおき、これを覆蓋(ふがい)する形。のち高床の建物となった。〔説文〕に字未収。〔周礼、考工記、匠人、注〕に「は圜倉(ゑんさう)なり」とあり、倉を方形の穀倉と解するものであろう。
[訓義]
1. くら、穀物を入れるくら。
2. 蔵と通じ、おさめる。
3. ひとや。
4. 倉黄・倉卒は、にわか、あわてる。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕倉 久良(くら)/倉 阿世久良(あぜくら)〔名義抄〕倉 クラ・ホロブ・モロシ/秀倉 ホクラ
[声系]
〔説文〕に倉声として・(蒼)・蹌・愴・滄・・鎗など十字を録する。・鎗は金玉の声で擬声語。・愴・滄・などは色など感覚的なものを示す字であるが、金玉の声とも無関係でない。
[語系]
倉tsang、・(臓)dzangは声義通じ、五は古くは五倉・五としるした。倉は清澄の感をもつ語で、(青)もその意に近く、また、倉(そう)声のtsang、愴tshiang、tshiang、tshiangは、(せい)声のtsyeng、tzieng、(精)dziengと対応するような関係にある。ゆえに・はその義近く、もと同じ語系であろう。
[熟語]
倉海▶・倉官▶・倉急▶・倉▶・倉▶・倉頡▶・倉庫▶・倉庚▶・倉黄▶・倉惶▶・倉皇▶・倉斛▶・倉穀▶・倉史▶・倉胥▶・倉書▶・倉粟▶・倉卒▶・倉猝▶・倉▶・倉蠧▶・倉奴▶・倉頭▶・倉府▶・倉米▶・倉簿▶・倉忙▶・倉▶・倉▶・倉吏▶・倉廩▶
[下接語]
営倉・開倉・官倉・義倉・倉・禁倉・京倉・空倉・軍倉・穀倉・社倉・書倉・神倉・積倉・船倉・倉・土倉・頭倉・農倉・米倉
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報