偏執(読み)へんしゅう

精選版 日本国語大辞典 「偏執」の意味・読み・例文・類語

へん‐しゅう ‥シフ【偏執】

〘名〙 (古く「へんじゅう」とも)
仏語。片寄った執着一つの考えに固執すること。偏見によって他の意見を受けつけないこと。片意地なこと。へんしつ。へんしゅ。
※維摩経義疏(613)観衆生品第七「欲大士不偏中之行新発及二乗之分別偏執也」
源平盛衰記(14C前)三「太政入道は極たる大偏執(ヘンシフ)の人にて」
② 他をうらやみそねむこと。他をねたましく不愉快に思うこと。へんしつ。へんしゅ。
浄瑠璃・以呂波物語(1684頃)二「それは人のへんしうにて、かれをそねみ雑説すると覚へたり」

へん‐しゅ【偏執】

〘名〙 (「へんじゅ」とも)
太平記(14C後)一四当家他家も推並て偏執(ヘンシュ)の心を失ひつつ」
義経記(室町中か)五「義経をへんじゅするぞ。目な見やりそ」

へん‐しつ【偏執】

〘名〙 (「しつ」は「執」の慣用音) =へんしゅう(偏執)
恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉五「一種の偏執(ヘンシツ)なる儒教的教育を受けたお庸(つね)が」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「偏執」の意味・読み・例文・類語

へん‐しゅう〔‐シフ〕【偏執】

[名](スル)《古く「へんじゅう」とも》
かたよった考えをかたくなに守って他の意見に耳をかさないこと。へんしつ。「自説偏執する」
他をねたましく思うこと。
さて何者ぞ―を起こし害せしか」〈浄・出世景清
[類語]頓着執着執心固執我執囚われるめろめろぞっこん首ったけのめり込む入れ込む夢中血道を上げる骨抜きいかれる溺れるふける凝る耽溺たんでき惑溺深入りはまるはまり込む身を焦がす狂おしい物狂おしい入れあげる病み付きとりこ心酔心ここにあらず心を奪う

へん‐しつ【偏執】

へんしゅう(偏執)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「偏執」の読み・字形・画数・意味

【偏執】へんしゆう(しふ)

固執する。宋・軾〔詳定役法を罷(や)むることを乞ふる子〕臣~見る執、詳定役法を罷めんことを乞ふ。~臣、に同じからず。~早(すみ)やかに罷(ひめん)を賜はらんことを乞ふ。

字通「偏」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android