備辺司(読み)びへんし

改訂新版 世界大百科事典 「備辺司」の意味・わかりやすい解説

備辺司 (びへんし)

朝鮮,李朝の政策決定機関。議政府議政,六曹判書,両局大将などの高級官僚合議制で運営した。15世紀に設置された知辺事宰相を前身とし,本来は国境地帯の防備策定機関として1510年の三浦(さんぽ)の乱に際して臨時に設置され,54年に常設化された。豊臣秀吉軍の侵入時(1592-98)に活躍し,17世紀には議政府権限を奪って国家の最高政策決定機関となった。大院君時代の1865年,議政府の一機関に格下げされ,92年に廃止された。本司の重要議事の逐日記録である《備辺司謄録》は1617-1892年分の273冊が現存し,李朝時代の政治,軍事,経済,社会に関する貴重な史料である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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