儀礼(儒教経典)(読み)ぎらい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「儀礼(儒教経典)」の意味・わかりやすい解説

儀礼(儒教経典)
ぎらい

中国、儒教経典の一つ。『周礼(しゅらい)』『礼記(らいき)』とともに三礼と称される。戦国以前の古礼の節目を詳述しており、17篇(へん)。古くは『礼(礼経)』とよばれ、『儀礼』の名は西晋(せいしん)からみえる。周公や孔子孔丘)の述作として尊ばれたが、実際には、礼の実習を重視する儒家が戦国末に編纂(へんさん)したものらしく、前漢には、魯(ろ)の高堂生(こうどうせい)の伝えた今文(きんぶん)17篇と、孔子旧宅より出たという古文53篇の両テキストがあった。後漢(ごかん)の鄭玄(じょうげん)が、劉向(りゅうきょう)の説に従って17篇を並べ、今文・古文を校合してテキストを定め、注をつけた。鄭玄の注に唐(とう)の賈公彦(かこうげん)の疏(そ)(注釈)が施された『儀礼注疏』が、『十三経注疏』に含まれる。『儀礼』は名のとおり、礼の詳細な行動のシナリオであり、おもに士の礼を(一部は大夫、諸侯の礼や通礼)、冠婚より葬祭まで、おおむね一生の順に記したもので、先秦(せんしん)の風俗・宗教・社会を知る貴重な資料である。なお、1959年、甘粛(かんしゅく)省武威県で、後漢の墓より発掘された『儀礼』9篇の木簡(もっかん)(長さ54~58センチメートル)は、当時の経書形態を知りうる唯一の考古資料である。

[高橋忠彦]

『胡培翬著『儀礼正義 皇清経解 続篇』』『池田末利訳注『東海大学古典叢書 儀禮』全5巻(1973~77・東海大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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