伝統的論理学で、一つの概念が当てはまる事物の全体(外延)に共通な性質をいうときのことば。たとえば、「人間」という概念の内包は「2本足の動物のなかで理性的なものである」などといわれる。ここで「2本足の動物」の外延は「人間」の外延を含んでより広い。こうしたとき、「2本足の動物」は「人間」より上位にある類概念であるといわれる。また、「理性的である」は、同じく2本足の動物である鳥などから人間を区別するもので「種差」とよばれる。すなわち、内包は、すぐ上位にある類概念と種差とを与えることによって示されるとされた。現代論理学では、外延は集合に一般化されている。そうして、一つの集合が一定の条件を満たすものの全体として定着されているときの、その条件が内包にあたるものだと考えてよい。たとえば半開区間[2,3)の内包は、2≦x<3という式で示される。
[吉田夏彦]
大脳新皮質と皮質下構造物とを結ぶ投射性伝導路の大脳半球における通路を指す。内囊ともいう。大脳半球は表層に大脳皮質,その深部に大脳髄質と大脳基底核をもつ。大脳基底核は尾状核,レンズ核(被殻と淡蒼球),扁桃体,前障に区別され,このうちレンズ核は完全に大脳髄質に包まれる。レンズ核を外側から包む髄質を外包,内側から包むのを内包と呼ぶ。皮質視床路,視床皮質路,皮質橋核路,錐体路などの投射性伝導路はすべてこの内包を通る。このうち皮質橋核路と錐体路は内包から大脳脚として中脳腹側面に出る。レンズ核は底面を島皮質に向け,頂点を内側に向けた円錐体で,内包はその円錐斜面を包んだ漏斗の形状をもつ。大脳半球は側面から見ると,島皮質を中心にして前頭葉,頭頂葉,後頭葉,側頭葉の順に弓形に連なっている。したがって,前頭葉の投射性伝導路は内包の前方から上方,頭頂葉のそれは上方から後方,後頭葉のそれは後方,側頭葉のそれは下方を占める。
→脳
執筆者:金光 晟
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…関係については〈……は……より大きい〉〈……は……と……との間にある〉のように2項,3項等,一般に多項関係に加えて,〈人間〉〈犬〉〈桜〉のように単項関係としての〈属性〉あるいは複数の事物の〈共通性質〉が考えられる。属性を特殊例として含む〈関係〉は伝統的に概念の二つの側面として区別されてきたものの一つ,いわゆる〈内包〉に相当し,もう一つの側面である〈外延〉は集合に当たるといえる。アリストテレスに由来する,現代以前の伝統的形式論理学では概念に対してさまざまな分類が行われてきた。…
…すなわち,線条体が大脳半球由来であるのに対し,淡蒼球は視床下核とともに間脳由来である。そして,哺乳類になって出現する内包によって淡蒼球は視床下核から分断されて大脳半球内に押し込まれて被殻に接着したと説明される。同様に線条体も内包によって二次的に尾状核と被殻とに分離されたという。…
…原因としては,出血や梗塞(こうそく)などの血管障害をはじめ腫瘍その他がある。 随意運動の中枢は大脳半球の中心前回にあり,そこの神経細胞から発した運動をつかさどる繊維は,大脳半球内包を経て脳幹に入り,一部は反対側脳幹の顔面神経その他の運動神経核へ分布する。またそれ以外のものは,脳幹下部で交差して反対側脊髄を下行し,脊髄前角細胞へ至る(上位運動ニューロン,錐体路)。…
※「内包」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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