溶解度の差を利用して結晶性物質を精製すること。すなわち精製しようとする固体を,適当な溶媒に加熱して溶かすか,あるいは濃縮して飽和溶液とし,これを徐々に冷却すると一般に溶質の溶解度が減少して再び結晶として析出してくる。この沈殿をろ過することによって,成分を結晶として精製することができる。溶液中に含まれる少量の不純物は目的とする成分と混晶などをつくって混入してこない限り飽和にならないため溶液中に残る。この操作を繰り返すことによって結晶の純度を高めることができる。再結晶するのには,できるだけ純粋な溶媒を用い,結晶が溶媒和物をつくらず,化学的変化をうけないことが必要である。また温度差によって溶解度がいちじるしく違う場合が適しており,それほどの違いのない場合(たとえば塩化ナトリウムなど)や温度が上がると減少する場合(たとえば硫酸マンガン(Ⅱ)など)は適当ではない。このような場合,たとえば塩化ナトリウムなどでは,常温で飽和水溶液をつくり,これにエチルアルコールを加えると塩化ナトリウムの結晶を得ることができる。このように加温しないでも,溶液中の溶質に対し難溶解性で,溶媒どうしは溶けあうような他の溶媒を加えて結晶させる場合も含めていうことがある。
執筆者:中原 勝儼
塑性加工によって硬化した金属,半導体などの材料を高温で焼きなますとき,軟化した新しい結晶粒が数多く生成・成長してくる現象。再結晶のための焼きなましは熱処理の一種であり,次の目的で行われる。(1)さらに塑性変形を与えるために,加工によって結晶粒がこわれたりして硬化してしまった材料を再結晶によって軟化させる。また,加工と再結晶を組み合わせて,(2)結晶粒を微細化したり,(3)多結晶体中の結晶格子の向きを全体としてそろえる(再結晶集合組織の形成)。(2)と(3)によって材料の強さ,磁性,弾性などが向上する。加工した材料を焼きなますと,転位のもつれあった構造から1μm程度の微細な結晶粒(亜結晶粒)の組織が生成し(回復),次いで少数の亜結晶粒の選択的な成長によって数十μm程度の結晶粒の組織が生成する(1次再結晶)。さらに小さい結晶粒が大きい結晶粒に食われ,結晶粒の平均寸法が増大する(正常結晶粒成長)。このとき少数の結晶粒のみが成長して数mm以上にもなる巨大結晶粒の組織が形成されることがある(2次再結晶)。再結晶過程というときには通常,回復から正常結晶粒成長までをさす。軟化は主として回復から1次再結晶までの過程で進行する。1次再結晶と2次再結晶とでは別の集合組織が形成される。加工の程度が小さいときには,回復は生じるが1次再結晶は生じない。マルテンサイト変態,蒸着など加工以外の過程で生成した亜結晶粒組織からも再結晶は生じる。
執筆者:伊藤 邦夫
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結晶性物質が溶液または融体からふたたび結晶として析出する現象、あるいはそのための操作をいう。金属、合金などでは、融点以下の温度における固相反応によって再結晶が進行することもある。
溶液からの再結晶は、高温度の飽和溶液を冷却したり、溶媒を蒸発させて濃縮したり、他の適当な溶媒を加えたりして溶解度を低下させて行う。主として物質精製のために利用される。
融体からの再結晶は、精製手段としてのほか、大形の単結晶を作製する目的で行われることも多い。金属材料の高温焼きなましも再結晶の一種であり、岩石の変成作用においても再結晶がおこる。これらは固相反応による再結晶の例である。
[岩本振武]
結晶性物質の精製法の一つ.適当な溶媒に高温で試料を溶かして飽和溶液をつくり,高温のまま濾過する.このとき,冷却を防ぐために,しばしばひだ付き沪紙を使用する.濾液を冷却し,析出した結晶を濾過,乾燥する.多くの不純物は高温の母液中に残る.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...
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