「しゅつじょうこうご」とも読む。江戸時代中期の排仏論の書。2巻。上巻は13章、下巻は12章からなる。1744年(延享1)富永仲基(とみながなかもと)の著述。仏教経典を分析批判し、仏教の本質と歴史を論じて大乗仏教を否定した。まず、仏教経典は釈迦(しゃか)が説いたものではなく、すべて後世の者の作為であり、多くは仏滅500年後の人の作であるとする。また現在の仏教も儒教も終局的にはいずれも倫理であり優劣はない、とする。さらに仏教各宗派の対立も「善をなす」点では同じ目的であるとして醜い宗派間の争いを否定するとともに、その宗派性も否定した。出定とは禅定の境地から平常の状況に戻ること。ここでは仏教を離れて客観的に批判するの意味で書名がつけられている。
[圭室文雄]
『加藤周一編『富永仲基・石田梅岩』(『日本の名著18』1972・中央公論社)』▽『永田紀久・有坂隆道校注『富永仲基・山片蟠桃』(『日本思想大系43』1973・岩波書店)』
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富永仲基(なかもと)が著した思想書。2巻。1745年(延享2)出版。書名は,釈迦は禅定から出た後に説法したという意味で,みずからを仏に擬している。仏教経典すべてが釈迦の説ではなく,のちに釈迦にかこつけて付加・補整(加上)されたものだというのが主張の中心。大乗非仏説論と仏教の近代的研究の先駆とされる。本書刊行後,排仏論・護法論の議論が活発化した。「日本思想大系」所収。
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