公の立法機関により制定された法である。日本の制定法の種類としては,憲法,法律,命令,条例,規則,条約がある。制定法は成文法といわれることもある。制定法,成文法に対しては,不文法がある。各種類の制定法の間には形式的効力の原理が妥当し,効力について上下関係が存在する。基本的には上から憲法→法律→命令→条例の順であるが,最高裁判所規則と条約は,それぞれの効力順位に関して意見が分かれている。このうち最高裁判所規則については法律との間の効力関係が問題となるが,通説は法律優位説に立っている。条約についてはまず法律との関係では条約優位説が通説となっており,憲法との関係では条約優位説と憲法優位説に意見が分かれている。種類の異なる制定法の間の形式的効力の原理に対して,種類を同じくする複数の制定法の間には,後法優越の原理と特別法優先の原理が存在する。後法優越の原理は〈後法は前法を破る〉ということであり,たとえば,同じことがらについて後から別の規定を有する法律が制定された場合には前法より後法が優先するというものである。ただしこの原理は,特別法優先の原理すなわち〈特別法は一般法に優先する〉という原理が働く場合には,原則として適用されない。したがって,たとえば教育公務員特例法は国家公務員法に対する特別法であるから,かりに国家公務員法の規定が改正されても,同じことがらについて定めた教育公務員特例法の規定はそれにより影響を受けることはない。
執筆者:桂木 隆夫
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…これに対して不文法は法源のうち成文法以外のものをいう。成文法は制定法とも呼ばれる。日本はヨーロッパ大陸法系に属しており,国民生活のほとんどすべての分野において成文法が存在するが,このように成文法が国法の基本となっている場合には成文法主義と呼ばれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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