朝日日本歴史人物事典 「前田光世」の解説
前田光世
生年:明治11(1878)
明治期の柔道国際化の一匹狼的功労者。青森県出身。幼名栄世。東京専門学校(早大)に学び,講道館入門の翌年無段者の部三本勝負で14,5人投げ飛ばし,のち三羽烏の一と称された。明治37(1904)年4段の時に富田常次郎6段と渡米,エールなど各地の大学で柔道指南。渡欧して各国で興行試合をし,158cmの短躯であらゆる格闘技の巨漢に連戦連勝,「高麗伯爵」として雷名を轟かせた。メキシコでの3000ドル賭勝負は有名。中南米を経て大正4(1915)年ブラジル入り,のちベレン市に定住。日本移民のアマゾン進出に献身的に貢献した。講道館精神の異端児ながら柔道の世界宣伝者の威力で破門はなし。
(前山隆)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報