剛体(読み)ゴウタイ

デジタル大辞泉 「剛体」の意味・読み・例文・類語

ごう‐たい〔ガウ‐〕【剛体】

外力が加わっても形や大きさの変わらない、力学上の仮想的な物体
[類語]固体固形かたまり弾性体液体気体ガス溶液水溶液粘液廃液乳液原液薬液流動物流動体流体液汁汁液しるつゆリキッド

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精選版 日本国語大辞典 「剛体」の意味・読み・例文・類語

ごう‐たいガウ‥【剛体】

  1. 〘 名詞 〙 どのような力を加えても、形や体積が変化しない理想的な固体。一般には、外力による変形が非常に少ない物体をもいう。完全剛体。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「剛体」の意味・わかりやすい解説

剛体 (ごうたい)
rigid body

力を加えても変形しない理想的な物体。生卵などは回転すると形はほとんど変わらないが,内部で流動を生ずるから剛体に近いとはいえない。したがって,物体内のどの2点をとってもその距離が不変であるものを剛体といったほうが正確である。固体の運動を扱うとき,変形や振動を考えると非常にめんどうになるが,剛体という理想化を行うと,運動が6個の変数で記述できるので,扱いがずっと簡単になる。変数のとり方にはいろいろあるが,剛体の任意の1点(例えば重心)の位置XYZと,剛体に固定した直交座標系方位を示すオイラー角(回転運動)θ,φ,ψとを用いることができる。XYZ並進運動,θ,φ,ψは回転を表す。剛体の1点Piに加えられた力Fiの働きは,重心Gに互いに打ち消し合う力Fiと-Fiをつけ加えてみればわかるように,Gに加えられた力Fiと,モーメントの偶力とに分けられる(図参照)。前者RXYZ)で表される重心の運動を,

によって決め,後者はオイラーの方程式によって回転運動を決める。
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百科事典マイペディア 「剛体」の意味・わかりやすい解説

剛体【ごうたい】

力を受けても変形しない物体理想。つまり,剛体内のどの2点をとっても,その間の距離はいつも一定である。現実には存在しないが,力学で取扱いが簡単なので,質点とならぶ重要な概念になっている。普通の固体は強すぎない力に対して剛体とみなせる。
→関連項目運動の法則気体分子運動論偶力こま(独楽)コワレフスカヤ作用点実体振子連続体(物理)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「剛体」の意味・わかりやすい解説

剛体
ごうたい

力が働いても変形することのない物体をいう。しかし剛体というのは物質種類に直接関係しない。多くの固体は、その空間的な運動あるいはつり合いなどを研究するときは剛体として扱われるが、その変形を考察するときは剛体ではない。人体のようなものも、肢体を動かさない運動の研究に関しては剛体として扱われる場合がある。

 剛体の運動は、その重心の運動と、重心の周りの回転運動とが合成されたものである。剛体のつり合いは次のように考えられる。剛体の1点に働く力がつり合うのは質点の場合と同様であるが、そのほかに、剛体は伸び縮みしないため、剛体の中の一つの線分の両端に、それと平行で互いに反対向きの大きさの等しい力を加えても、なんの影響もない。これを利用すれば、(1)力をその線上の他の点に移すことができる。(2)剛体の異なった2点に働く平行な力を一つの力に合成することができる。

 このようにしても一つの力に合成できないのは、大きさが等しく平行で反対向きの二つの力であり、これを偶力という。偶力を一つの線分の両端に働くそれと垂直な二つの力で表したとき、線分の長さと力の大きさの積すなわち偶力のモーメントで特徴づけられる。結局、剛体のつり合いは、力とそのモーメントのつり合いで決めることができる。

 こうしてみると、剛体とは、物体が運動やつり合いにおいてもつ性質の一側面を抽象したものであるということができる。さらに抽象化されたものが質点である。

[宮原将平]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「剛体」の意味・わかりやすい解説

剛体
ごうたい
rigid body

大きさを無視できない物体を力学的に論じるとき,構成部分の間の距離が絶対に変らない仮想的な物体を剛体と呼ぶ。剛体はどんな力を受けても形や体積を変えない。剛体の運動は,重心に全質量が集中した仮想的質点が行う重心運動と,重心のまわりの回転運動とに分離して論じることができる。

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