労働装備率(読み)ろうどうそうびりつ(英語表記)labour equipment rate

知恵蔵 「労働装備率」の解説

労働装備率

企業の設備資本額について、従業員1人当たりに投下される額を労働装備率、あるいは資本装備率とよぶ。定義式は、「期首期末平均(有形固定資産-建設仮勘定)」÷期首期末平均従業員数、である。これは一般に設備の合理化、あるいは機械化の程度を表す指標とされ、特にこの定義式の分子が稼働有形固定資産額であることから、設備投資の高さを表すものとも解釈される。労働装備率が高い場合、従業員の労働効率が高ければ、付加価値生産性が高まるとされる。すなわち、付加価値生産性は労働装備率、稼働有形固定資産回転率、売上高付加価値率の積からなり、これを高めるには従業員1人当たりの稼働有形固定資産額(労働装備率)を上げるか、稼働有形固定資産の回転率を上げる、という方策が有効となることが分かる。戦後の日本の企業の高い成長を支えた重要な要因として、労働装備率の飛躍的な上昇、すなわち積極的な設備投資が大きく貢献したことはつとに知られるところである。

(小山明宏 学習院大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「労働装備率」の意味・わかりやすい解説

労働装備率
ろうどうそうびりつ

有形固定資産÷従業員数もしくは (有形固定資産-建設仮勘定)÷従業員数 により算出される比率。資本装備率,機械装備率とも呼ばれ,企業の生産技術的な合理化の度合いを示すものとして重要な指標である。また生産性概念において労働生産性と資本生産性を結びつけるものである。そして生産性は人間の知識と工夫によって次第に労働を資本に置き換えるという過程を経て高められ,その結果資本集約企業のほうが一般的に生産性が高いのが普通である。そして資本集約度合いを最もよく示すものが労働装備率である。また国民経済的な観点からも労働者1人あたりの資本蓄積が増加することによって生産性が高まり,その結果,実質国民所得が増大することになるので重要な指標といえる。

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