北九州監禁殺人事件(読み)きたきゅうしゅうかんきんさつじんじけん

知恵蔵 「北九州監禁殺人事件」の解説

北九州監禁殺人事件

1996年から98年にかけて北九州市のマンションで起こった監禁・連続殺人事件。男女7人が死亡した。犯人は松永太と、内縁関係にあった緒方純子で、2人は96年に同居していた緒方の母(当時58歳)、妹夫婦とその子ども2人(当時10歳と5歳)を殺害し、緒方の父親(当時61歳)も虐待の上殺害した。緒方の両親や妹一家は、当初は松永が金づるとして利用していた。しかし、金銭的な利用価値がなくなると、口封じも兼ねて次々と殺害していったとみられている。更に少女(当時17歳)を監禁し、その父親(当時34歳)を殺害した。また松永は別の女性も監禁、傷害強盗、詐欺などをした。事件は被害にあった少女がマンションから逃げ出し、助けを求めたことで発覚。遺体は解体され海に捨てられるなどして証拠がなく、捜査は難航した。
松永は一審、二審でも死刑判決を受け上告していたが、2011年12月の最高裁判決の上告審判決で、宮川光治裁判長は「犯行を主導し、刑事責任は重大極まりない」と被告の上告を棄却死刑が確定した。一方、緒方は一審で死刑判決を受けたが、二審では無期懲役の判決を受けていた。検察側は最高裁に上告したが、最高裁はそれを棄却。犯した罪は重大だが、松永から虐待を受け逆らえない状況だった点や、捜査の途中からは積極的に自白をした点、反省している点などを考慮して「極刑を選択しがたく、無期懲役の量刑が著しく不当だとはいえない」との理由で無期懲役が確定した。

(金廻寿美子  ライター / 2012年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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