改訂新版 世界大百科事典 「豊田自動織機」の意味・わかりやすい解説
豊田自動織機[株] (とよだじどうしょっき)
繊維機械業界の名門企業で,トヨタ・グループの本家にあたる会社。本社愛知県刈谷市。1926年11月,豊田佐吉が同年3月に発明した自動織機の製造を目的として,愛知県刈谷に設立された。同社の自動織機の性能は国際的にも広く認められ,昭和の初期からアジア地域を中心に広く輸出された。豊田佐吉は自動車の製造にも早くから関心をもっており,息子の豊田喜一郎も新事業として自動車国産化への熱意をもっていた。そこで30年ころから同社の工場で自動車の研究が進められ,33年に自動車部が設置され,35年乗用車第1号(A1型)が完成した。37年同社の自動車部門は分離され,トヨタ自動車工業(株)(現,トヨタ自動車)として設立された。
豊田自動織機製作所(株)は第2次大戦中は軍需生産を余儀なくされたが,戦後は再び紡織機,自動車部品の生産に転換,とくに昭和30年代の初めあたりからは自動車エンジン,フォークリフト,カークーラー用コンプレッサーなどの多角化を積極的に推し進めた。現在は自動車用エンジンの組立て,フォークリフトなどの産業車両,繊維機械,カークーラー用コンプレッサーが事業の四つの柱になっている。2001年社名を豊田自動織機と変更。資本金805億円(2005年9月),売上高1兆2415億円(2005年3月期)。
執筆者:中山 裕登
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報