千金の子は盗賊に死せず（読み）センキンノコハトウゾクニシセズ

デジタル大辞泉

千金せんきんの子こは盗賊とうぞくに死しせず

《蘇軾「留侯論」から》金持ちの子は、盗賊と争って死ぬような危険なことはしない。金の力で身を守ることをいう。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

せんきん【千金】 の 子(こ)は盗賊(とうぞく)に死(し)せず

(「蘇軾‐留侯論」の「千金之子不_レ死_二於盗賊_一、何者、其身之可_レ愛、而盗賊之不_レ足_二以死_一也」から) 金持の子は、盗賊と争うような危険なことはしない。金の力によって身の危険を守ることをいう。

出典　精選版 日本国語大辞典

故事成語を知る辞典

千金の子は盗賊に死せず

自分を大切にして、むやみに危険を冒さないことのたとえ。

[使用例] 千金の子は盗賊に死せず。こういう格言があるではないか。茶碗一つを惜おしんだ為、俺わしや其方そちに怪我があってはそれこそ天下の物笑いだ［国枝史郎＊郷介法師｜1925］

[由来] 一一～一二世紀、北ほく宋そう王朝の時代の中国の文人、蘇そ軾しょくが書いた「留りゅう侯こう論ろん」という文章の一節から。「千金の子は盗賊に死せず（金持ちは盗賊に殺されたりはしない）」というその理由は、自分の命の大切さをわかっていて、盗賊にくれてやるようなまねはしないからだ、と述べています。命の危険をお金で解決しようとすることだとも解釈できますが、原文は、むやみに命を危険にさらすことの愚かさを、戒めた文章です。

〔異形〕千金の子は市に死せず。

出典　故事成語を知る辞典