升形(読み)ますがた

精選版 日本国語大辞典 「升形」の意味・読み・例文・類語

ます‐がた【升形・枡形・斗形】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 升のような四角の形。また、そのようなもの。
    1. [初出の実例]「アノ浄湯をくむ升形(マスガタ)の所を呼出しといふはな」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
  3. 柱などの上にある方形または長方形の木。ます。とがた。
    1. [初出の実例]「或は九輪を下(おろ)され、ます形(ガタ)計あるもあり」(出典:太平記(14C後)二六)
  4. 神輿(しんよ)の屋蓋(おくがい)の頂。また、宝珠形の下にある四角の露盤。
  5. 防御のために城の入口に設ける四角形の空地。周りを門や櫓塀・石垣などで囲み、敵が直進できないようにつくる。
    1. 升形<b>④</b>〈東京都江戸城北の丸〉
      升形〈東京都江戸城北の丸〉
    2. [初出の実例]「門前をも升形(マスカタ)といふ」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品四二)
  6. 昔の劇場の平土間で、升のように仕切った見物席。ます。
    1. [初出の実例]「勤め枡形(マスガタ)切落し、中の間までもよいよいと」(出典:歌舞伎伊勢平氏栄花暦(1782)三立(暫))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「升形」の解説

升形
ますがた

[現在地名]金沢市安江町やすえちよう

文政六年(一八二三)安江木やすえぎ町のうち安江木木戸から同町上の木戸までを町域として成立した地子町(「又新斎日録」加賀藩史料)。両側町で北は鍛冶片原かじかたはら町に続く。肝煎は安左衛門(町奉行より出候町名)町名宮腰みやのこし往来に通じる枡形の総構門が所在したことによる(金沢古蹟志)


升形
ますがた

[現在地名]高知市升形・まるうち一―二丁目

郭中の本かちゆうのほん町の西詰とかみ町の本町筋との間にある広場で、もと本町の一部であったが、明治四年(一八七一)独立の町となった。当初の町づくりの際にここを広場にしたのは、緊急事態の際兵を集結させる場所が必要であり、その人数を概算するための「枡」になるものであった。本町の通りで毎年正月に行われる馭初式の際には騎馬武者たちの屯所にもなった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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