(読み)キ

デジタル大辞泉 「危」の意味・読み・例文・類語

き【危】[漢字項目]

[音](慣) [訓]あぶない あやうい あやぶむ
学習漢字]6年
あぶない。あやうい。「危機危急危険危地危篤危難安危
あやぶむ。「危惧きぐ
害する。そこなう。「危害
すっくと高く立つ。「危坐きざ危峰

き【危】

あやういこと。あぶないこと。
「―を踏み険を冒すの事業にして」〈田口日本開化小史
危険物」の略号
二十八宿の一。北方の第五宿。水瓶みずがめ座のαアルファ星など三星をさす。うみやめぼし。危宿。

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精選版 日本国語大辞典 「危」の意味・読み・例文・類語

あやうくあやふく【危】

  1. 〘 副詞 〙 ( 形容詞「あやうい」の連用形から )
  2. 少しでも状況が違っていたら、もう少しで。まかりまちがえば。すんでのことで。
    1. [初出の実例]「既に危(アヤフ)く組敷くを、潜(くぐ)り抜けつつ」(出典:人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)初)
    2. 「あやふく甚作に躍りかかって咽喉を締めつけようとしかけるのを」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉八)
  3. 果たしてどうなるか、あぶなかったがやっと。かろうじて。
    1. [初出の実例]「あわてて自分で口を押へて『〈略〉』とあやふくきり抜けた」(出典:大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一五)

あぶなく【危】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 少しでも状況が違っていたら。もう少しで。まかりまちがえば。すんでのことに。あやうく。
    1. [初出の実例]「あぶなく私も留守の言解(いひわけ)に、まごつく処でございましたは」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)三)
  3. あぶなかったが、やっと。やっとのことで。かろうじて。あやうく。
    1. [初出の実例]「百錬千磨の正義刀に敵すべきにあらず、忽に負傷して険些(アブナク)児身を以て遁れ」(出典:春窓綺話(1884)〈高田早苗・<著者>坪内逍遙・<著者>天野為之訳〉五)

あやぶみ【危】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「あやぶむ(危)」の連用形の名詞化したもの ) あやういと思うこと。悪い結果にならないかと気をもむこと。不安に思うこと。また、あやういと思われること。危険なこと。危難。
    1. [初出の実例]「然して国の危(アヤフミ)殆卵を累(かさ)ぬるに過ぎたり」(出典:日本書紀(720)雄略八年二月(熱田本訓))
    2. 「念仏して極楽をのぞむ人も、参る事あやぶみあらば」(出典:栄花物語(1028‐92頃)音楽)
    3. 「其の上にあやぶみが多くて、中々療治ははかどらず」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)

き【危】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. あぶないこと。あやぶむこと。
      1. [初出の実例]「危を蹈み険を冒すの事業にして」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉三)
    2. 危険物の略号。爆発物引火性の強い薬品などを積載する車に漢字でつけられる。
  2. [ 2 ] 二十八宿の北方第五宿。みずがめ座アルファ星を含む三星。危宿。うみやめぼし。〔易林本節用集(1597)〕〔史記天官書

あぶな【危】

  1. [ 1 ] ( 形容詞「あぶない」の語幹 ) あぶないこと。
    1. [初出の実例]「あぶなながら年暮れて、寿永も三とせになりにけり」(出典:平家物語(13C前)八)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙あぶなえ(危絵)」の略。
    1. [初出の実例]「あやふや人形〈略〉明和安永頃女画に股など出したるをあぶなといへり」(出典:随筆・嬉遊笑覧(1830)六)

あやうあやふ【危】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「あやうい」の語幹から ) 近世、民間の「かな暦」の中段にしるされ、日々の吉凶を示した一二の言葉の一つ。その月の干支(えと)より八つ目の日で、家作、婚礼、祭典、酒造、種まきに吉、登山、渡海に凶という。あやぶ。あやうにち。
    1. [初出の実例]「危 高に登るべからざる日なり」(出典:仮名暦注解(18C中))

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普及版 字通 「危」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)
6画

[字音]
[字訓] あやうい・たかい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(き)。の初文。の下に、く人の形を加えたものが。〔説文〕九下に「高きに在りて懼るるなり。に從ひ、自ら(節)して之れを止む」とするが、の上下にく人の形をそえて危うい意を示す。危冠は冠を危(たか)くすること、危坐は端坐すること、すべて端厳の状態についていう。

[訓義]
1. あやうい、あやぶむ、あやうく。
2. たかい、けわしい、正しい。
3. はげしい、かたむく、はやい。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕 アヤフシ・アヤフム・アヤフミ・オトス・ヲツ・ミネ

[部首]
〔説文〕にをこの部に属する。崎嶇の崎と同じ。〔説文〕はを厂(かん)部に属するが、などの字の従うところで、一部をなすべき字。〔玉部になお(げき)・(ごつ)の二字を加えている。

[声系]
〔説文〕に声としてなど十一字を収める。おおむね傾く、敗れるの意をもつ字である。

[語系]
ngiuai、俄ngaiは声近く、ともに傾く姿勢をいう。伎・妓gieもその系統の語である。

[熟語]
危隘・危安・危害・危・危閣・危冠・危巌・危機・危疑・危・危弓・危窮・危急・危狭・危・危局・危苦・危懼・危・危径・危髻・危・危険危蹇・危言・危語・危行・危構・危国・危困・危坐・危削・危桟・危死・危視・危事・危・危弱危蹙・危術・危峻危悚危聳危懾危檣危峭危辱・危心・危身危惴・危勢・危・危石危然・危巣危殆・危台・危地・危・危墜・危亭・危・危・危巓・危途・危道・危篤・危難・危敗・危迫・危微・危・危怖・危覆・危峯・危邦・危亡・危厄・危乱・危欄・危慄・危嶺・危路・危楼
[下接語]
安危・懐危・艱危・欹危・危・傾危・険危・孤危・弘危・高危・守危・峻危・牆危・乗危・身危・憂危・履危・臨危・路危

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