系統の異なる生物分類群の間で独立に器官の形や体全体の形が類似する方向に進化することをいう。収れんの結果生ずる生物間の形態の見かけの類似現象をホメオモルフィーhomeomorphyといい,さまざまのレベルの分類群の間で認められる。多くは生態(特に運動様式・食性)の類似に関連して起こる。例えば,軟骨魚類のサメ,中生代に栄えた爬虫類の魚竜,哺乳類のイルカは骨格の基本的構造は著しく異なるが,いずれも遊泳に適した流線型の体形をもつ。異なった時期および場所で起こった適応放散の結果,同様の環境に適応した種が,系統的には疎遠であるにもかかわらず著しい見かけの類似を示すことがある。オーストラリアの有袋類は好例で,旧大陸のネズミ,モグラ,モモンガ,リス,アナグマ,オオカミなどに相当する種が生まれた。収れんは系統分類の研究をしばしば惑わすが,生態や機能形態の推定には重要な手がかりを与える。なお,数学や物理学では〈収れん〉を〈収束〉と呼ぶことが多い。
→相似
執筆者:速水 格
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