取乱(読み)とりみだす

精選版 日本国語大辞典 「取乱」の意味・読み・例文・類語

とり‐みだ・す【取乱】

(「とり」は接頭語)
[1] 〘他サ四〙 散らし乱す。とり散らす。また、だらしない様子をする。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)八「兵具をとりみたいたやうなとは、傑な事を云ぞ」
[2] 〘自サ五(四)〙
① 心の平静を失う。見苦しい態度を呈する。
玉葉‐嘉応二年(1170)二月一二日「有取乱事、不謁云々」
② あわただしく、乱れたさまになる。また、ごたごたする。
帰省(1890)〈宮崎湖処子〉二「果せる哉路傍の圃(はた)に取乱したる馬蹄の音聞え」

とり‐みだ・る【取乱】

(「とり」は接頭語)
[1] 〘他ラ四〙 散らし乱す。とり散らす。とり乱す。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「むすめどもをもとりみだりてまどはさんに」
[2] 〘自ラ四〙 心の平静を失う。
蜻蛉(974頃)上「寺へものせし時、とかうとりみだりしものども、つれづれなるままにしたたむれば」
[3] 〘自ラ下二〙 ⇒とりみだれる(取乱)

とり‐みだ・れる【取乱】

〘自ラ下一〙 とりみだ・る 〘自ラ下二〙 (「とり」は接頭語)
① 散り乱れる。とり散らかる。また、しどけない様子になる。
※木工権頭為忠百首(1136頃)雑「はし鷹の羽風にさわぐかやくきのとり乱れたる秋の野辺哉〈源頼政〉」
② 心の平静を失う。
浄瑠璃出世景清(1685)四「女心のあさましさは嫉妬のうらみに取みだれあとさきのふまへもなく」

とり‐みだし【取乱】

〘名〙
① 混雑すること。ごたごたすること。とりこみ。
大乗院寺社雑事記‐文正元年(1466)五月晦日「新勧進代今度之題目に取乱之間、不参上
② 心の平静を失うこと。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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