古・旧・故(読み)ふるい

精選版 日本国語大辞典 「古・旧・故」の意味・読み・例文・類語

ふる・い【古・旧・故】

〘形口〙 ふる・し 〘形ク〙 昔のことであるさま、以前からあるさま、年月を経ているさまをいう。
① 遠い昔のことに属するさま。現在にかかわらない前の時代のことであるさま。
万葉(8C後)六・一〇四八「立ちかはり古(ふるき)京となりぬれば道の芝草長く生ひにけり」
② 現在まで時間を経ているさま。年老いているさま。時代がたっているさま。
※大智度論天安二年点(858)六七「春の時に陳(フルキ)葉落ちて更に新き葉を生す」
③ 特に、長い年月を経ていることに対するさまざまな評価を加えて用いる。
(イ) 年月の重みが加わっている。古雅な趣がある。年功を積んでいる。経験が深い。
源氏(1001‐14頃)梅枝「錦・綾なども猶ふるき物こそなつかしう、こまやかにはありけれとて」
(ロ) さびれている。古くさくなっている。
※万葉(8C後)一七・三九二〇「鶉鳴く布流之(フルシ)と人は思へれど花橘の匂(にほ)ふこの屋戸」
(ハ) 長い間使いならしてふるびている。
蜻蛉(974頃)上「相撲のころ、ふるき新しきと、一領づつひきつつみて」
(ニ) 時代遅れである。陳腐だ。
浮世草子好色一代男(1682)七「ふるき事ながら、此手たて、一度つつはくふ事也」
ふる‐さ
〘名〙

ふる【古・旧・故】

[1] 〘語素〙 (形容詞「ふるい」の語幹相当部分) 名詞の上に付いて、古い意を加える。古くは、時間が経過した、長い年月がたったの意で用いることが多いが、現代では、使いふるした、の意をこめることが多い。「ふること」「ふる人」また「ふる足袋」「ふる新聞」など。
[2] 〘名〙 使いふるしたもの。他人長年使ってから譲られたもの。多く、衣類道具などについて、「おふる」の形でいうことが多い。→おふる
かくれんぼ(1891)〈斎藤緑雨〉「其角曰くまがれるを曲てまがらぬ柳に受るも漸(やや)(フル)なれど何うも言れぬ取廻しに俊雄は成仏延引し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android