古江郷(読み)ふるえごう

日本歴史地名大系 「古江郷」の解説

古江郷
ふるえごう

和名抄」所載の郷。訓は高山寺本に「布流衣」、東急本に「布留江」とある。「旧江」は天平一九年(七四七)九月二六日に大伴家持が作った「放逸せる鷹を思ひて、夢に見て感悦びて作る歌一首」に「葦鴨多集すだく旧江に」とあるのが早い(「万葉集」巻一七)。古江郷としては、天平宝字三年(七五九)一一月一四日の射水郡鳴戸開田地図(福井成功氏旧蔵)の左上隅部に「三宅所四段直稲三百束、在櫛田郷塩野村、主射水郡古江郷戸阿努君具足」とある。後者は奈良時代に古江郷が存立したことを示すとともに、古江郷所属の農民が他郷内に進出し、経営拠点を構えていた痕跡を伝える点で注目される。八世紀中葉は天平一五年(七四三)墾田永世私財法を背景にして、有力農民が私有地の獲得に向け各地で開墾・営田活動を展開した時期にあたる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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