合口甕棺(読み)あわせぐちかめかん

精選版 日本国語大辞典 「合口甕棺」の意味・読み・例文・類語

あわせぐち‐かめかん あはせぐちかめクヮン【合口甕棺】

〘名〙 彌生時代の埋葬設備。二つの甕を口で合わせ、中に被葬者を入れて葬るもの。彌生中期、北部九州地方で多く行なわれた葬法

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「合口甕棺」の意味・わかりやすい解説

合口甕棺
あわせぐちかめかん

死者を収容する棺として甕形土器を使用し、その場合2個の甕の口をあわせて使用したものをいう。北九州弥生(やよい)時代中期には葬棺専用の大型甕が流行した。また一方の甕は小さく明らかに蓋(ふた)としての用途を示している場合もある。地下に水平または斜めに埋納されたが、まれには直立した例もある。人骨の遺存例でみると成人を伸展葬する場合もあるが、多くは一方の甕に屈葬している。乳幼児などは小型の甕や壺(つぼ)を使用して収容された。同形同大の甕の場合は口をあわせて粘土で目貼(めば)りするが、そうでない場合は一方がかぶせられたり、挿入されることになる。縄文時代晩期や中国、朝鮮半島にも同じような葬法がみられる。

[小田富士雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android