名は実の賓(読み)ナハジツノヒン

デジタル大辞泉 「名は実の賓」の意味・読み・例文・類語

じつひん

《「荘子」逍遥遊から》徳が主で、名誉は客であること。名誉は徳に伴うべきものであること。

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精選版 日本国語大辞典 「名は実の賓」の意味・読み・例文・類語

な【名】 は 実(じつ)の賓(ひん)

  1. ( 「荘子‐逍遙遊」の「堯譲天下許由。〈略〉許由曰、子治天下、天下既已治也。而我猶代子、吾将為名乎。名者実之賓也。吾将賓乎」による ) 実際の徳が主で、名誉は客であること。徳があってはじめて名誉が自然にこれに伴うものであること。
    1. [初出の実例]「仁を以てこそ君子と云名はきこゆれ、若仁をすてば名いづくんぞなさんやと云ぞ名は実の賓也と云ぞ」(出典:足利本論語抄(16C)里仁第四)

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故事成語を知る辞典 「名は実の賓」の解説

名は実の賓

ものごとの本質は、名前にではなく、実質にこそあるということ。

[使用例] 名は実の賓なりと言うが、この面をつけて、ピストルをもつだけで、この頃では、俺の心の中までもがらりと一変して、別の人間になるような気がする[平林初之輔*探偵戯曲 仮面の男|1929]

[由来] 「荘子しょうようゆう」に見えるエピソードから。中国の伝説時代、帝王ぎょうが、賢者として名高いきょゆうに位を譲ろうとしました。しかし、許由はそれを断って、次のように述べたそうです。「あなたが天下を治めてうまくいっているのに、私がそれを譲り受けると、帝王という名前が欲しいからだということになる。『名は実の賓なり(名前というのは、実質という家に居候している客にすぎない)』。私は居候を求めようとは思わない」。

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