君沢郡(読み)くんたくぐん

日本歴史地名大系 「君沢郡」の解説

君沢郡
くんたくぐん

伊豆国の北西端部に所在した近世から近代初期にかけての郡。郡名は南北朝期からみえる郡宅ぐんたく(現三島市)の名を継承して「くんたく」とされたとみられ(大日本地名辞書・増訂豆州志稿)、明治一八年(一八八五)の「地名索引(内務省地理局編纂)でも「クンタク」と訓じる。

〔近世〕

田方たがた郡の一部を割いて君沢郡を置いたとされるが、近世初期には両郡は錯綜しており、郡域が完全に確定したのは元禄一四年(一七〇一)とい(増訂豆州志稿)。郡域は現伊豆長岡いずながおか町、修善寺しゆぜんじ町の狩野かの川左岸、三島市、および沼津市内浦うちうらから戸田へだ村・土肥とい町に至る。「増訂豆州志稿」の神益中島かんますなかじま(現大仁町)の項に「君沢田方郡界概川流ヲ以テ分ツ、特ニ本村狩野川ヲ夾ンデ部落ヲナス」「天正十八年検地帳君沢郡中島郷ト見ユ、神益ト本一村ナルガ狩野川西ニ移リテ川ヲ隔ツ故水道トノ中ニ在ル故神益中島ト云」とある。また桑原くわはら(現函南町)の文禄三年(一五九四)七月一二日の検地(森家文書)に「豆州君沢郡桑原村御縄打水帳」、大竹おおたけ(現同上)の同年七月一二日の検地帳(田中家文書)にも「豆州君沢郡大竹村御縄打水帳」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報