家庭医学館 「唾液腺のいろいろ」の解説
だえきせんのいろいろ【唾液腺のいろいろ】
耳下腺管(じかせんかん)は、左右のあごの奥歯に面する頬(ほお)の粘膜(ねんまく)に開口します。耳下腺の中には、顔の筋肉を動かす顔面神経が、木の枝のように枝分かれして分布するので、手術のときに問題となります。
顎下腺管(がくかせんかん)は、舌と歯肉(しにく)の間の粘膜(口腔底(こうくうてい))の正中(せいちゅう)(中央)、前方の対照的な位置に開口します。
舌下腺導管(ぜっかせんどうかん)は、口腔底前方で口腔底に直接、開口するものと、顎下腺管内に開口するものがあります。
最近、口内乾燥症(「口腔乾燥症」)が問題になっています。これは、唾液分泌量(だえきぶんぴつりょう)が減って口腔粘膜が乾燥し、口腔内の乾燥感を訴える一群の疾患によるものです。
1個の唾液腺が病気になっても、唾液分泌量は大きな影響を受けませんが、唾液をつくる唾液腺細胞の数・機能が病気、加齢などで全体として抑えられると、唾液分泌量は大きく減少し、口内乾燥感が自覚されるようになります。
口内乾燥症の原因となる代表的な病気にシェーグレン症候群(「シェーグレン症候群」)がありますが、加齢による唾液腺細胞の減少(唾液腺萎縮症(だえきせんいしゅくしょう))や胃腸薬、精神安定剤などの薬物の副作用も重要です。