喉頭痙攣(読み)コウトウケイレン

デジタル大辞泉 「喉頭痙攣」の意味・読み・例文・類語

こうとう‐けいれん【喉頭××攣】

声帯付近の筋肉痙攣けいれんし、一時的に呼吸ができなくなること。食物異物による刺激ストレス溺水麻酔下での気管挿管や抜管などが原因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「喉頭痙攣」の意味・わかりやすい解説

喉頭痙攣
こうとうけいれん

発作的な痙攣によって声門が閉鎖し、呼吸困難に陥ること。声門痙攣ともいう。声門閉鎖筋が攣縮(れんしゅく)し、換気不能から窒息状態に陥りチアノーゼをきたすため、迅速に対処しないと死に至ることもある。一般に、気管内にチューブを挿入して麻酔を行う際に麻酔深度が浅い状態で喉頭に刺激を受けたり、麻酔後の覚醒(かくせい)が不十分な状態で抜管したときなどに起こることが知られている。敏感な人の場合、食物や異物などにより喉頭が刺激を受けるだけで、過剰な防御反応により声帯が内転、声門が痙攣して閉鎖し、呼吸のできない状態が数分持続することもある。ほかに溺水(できすい)による気道閉塞(へいそく)および破傷風テタニーの一徴候としても起こる。また神経過敏な人が不意の刺激に反応して発症する心因性のものもある。サクシニルコリンスキサメトニウム)などの筋弛緩(しかん)薬を投与することで緩和できるが、気管内挿管あるいは緊急な気道確保が必要となることもある。突然、症状が現れることも考えられるため、神経過敏な患者に対しては事前に精神安定薬を投与するなど心身の安定に配慮する必要がある。

[編集部]

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家庭医学館 「喉頭痙攣」の解説

こうとうけいれん【喉頭けいれん Laryngeal Spasm】

[どんな病気か]
 一時的に両側の声帯(せいたい)が内転し、声門(せいもん)がけいれんして閉鎖し、呼吸ができなくなる病気で、喉頭の気道防御作用が過度に現われたものと考えられています。
[症状]
 おとなは、声門の高度狭窄(きょうさく)による吸気性喘鳴(ぜんめい)(息を吸うときのゼーゼーヒューヒューいう音)や陥没性呼吸(かんぼつせいこきゅう)(息を吸うときの胸のへこみ)、呼吸困難感などがおこります。
 子どもでは、生後4か月ごろから2歳までにおこることが多く、重症の場合はチアノーゼや失禁(しっきん)、全身けいれんなどがみられることがあります。子どもの突然死の原因の1つになると考えられています。
[原因]
 子どもは、くる病(「くる病(子どもの骨軟化症)」)やテタニーの部分症状のことがあります。
 おとなは、神経質な性格などが素因となっておこることがあります。また、破傷風(はしょうふう)(「破傷風」)や尿毒症(にょうどくしょう)(「尿毒症」)などによっておこる一症状である場合もあると考えられています。
[治療]
 発症直後は、頸部(けいぶ)を冷やすことが効果的とされています。また、カルシウム剤や精神安定剤の使用も有効とされています。

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