デジタル大辞泉 「喝食」の意味・読み・例文・類語
かっ‐しき【喝▽食】
1 禅寺で、諸僧に食事を知らせ、食事の種類や進め方を告げること。また、その役目の名や、その役目をした有髪の少年。のちには稚児の意となった。喝食
「
2 「
3 能面の一。額にイチョウの葉形の前髪がかかれ、両ほおにえくぼがある半僧半俗の少年の面。
4 能の
5 歌舞伎の女形のかつらの一。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
〈かっしき〉〈かつじき〉〈かしき〉ともいう。禅院での朝昼食事(斎粥(さいしゆく)という)時において,行者(あんじや)が衆僧に浄粥(じようしゆく)・香飯香汁(きようはんきようじゆ)・香菜(きようさい)・香湯・浄水などと食物の種類や,再進(さいしん)・出生(すいさん)・収生(しゆうさん)・折水(せつすい)など食事の進め方を唱えること。またその役名を喝食行者と称し,喝食と略称される。喝食は言語明確にすることが大事であるとされた。日本での喝食の初めについては,弁円の法嗣双峰宗源あるいは無外爾然など数説ある。喝食は,はじめ年齢を問わなかったが,のち髪を垂らした童児となった。一説には,天竜寺開山のとき,剃髪・得度するにはまだ至らない寺に入った子どもを喝食となしたという。また,稚児の別称となり,《太平記》に足利尊氏嫡男直冬は〈始メハ武蔵国東勝寺ノ喝食〉とある。
執筆者:竹貫 元勝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「かつじき」ともいう。禅寺で規則にのっとり食事する際、食事の種別や進行を唱えて衆僧に知らせること、またその役名。喝食行者(かっしきあんじゃ)ともいう。『勅修百丈清規(ちょくしゅうひゃくじょうしんぎ)』や『永平清規(えいへいしんぎ)』に記載があるが、後の日本の禅林では、7、8歳から12、13歳の小童が前髪を垂らし袴(はかま)を着けて勤めるのが一般の風習となった。室町時代には稚児(ちご)の別名となり、本来の職責と異なって、公家(くげ)や禅僧の若道(にゃくどう)の相手役となった。
[石川力山]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…禅院での朝昼食事(斎粥(さいしゆく)という)時において,行者(あんじや)が衆僧に浄粥(じようしゆく)・香飯香汁(きようはんきようじゆ)・香菜(きようさい)・香湯・浄水などと食物の種類や,再進(さいしん)・出生(すいさん)・収生(しゆうさん)・折水(せつすい)など食事の進め方を唱えること。またその役名を喝食行者と称し,喝食と略称される。喝食は言語明確にすることが大事であるとされた。…
…しかし,室町時代までは文献例が少なく,わずかに女犯を禁じられた僧の男色が知られているにすぎない。室町時代以後には僧院における稚児(ちご),喝食(かつしき)などが武士の間にも愛され,後には少年武士が男色の相手に選ばれた。とくに戦国時代には,尚武の気風からことさらに女性をさげすみ,男色を賛美する傾向が強まった。…
…平太(へいた)と中将は特に武将の霊に用い,頼政や景清,俊寛など特定の人物への専用面も現れた。喝食(かつしき),童子など美貌若年の面のなかにも,蟬丸や弱法師(よろぼし),猩々(しようじよう)といった特定面ができてくる。(4)は最も能面らしい表現のものといわれ,若い女面として小面(こおもて),増(ぞう),孫次郎,若女の4タイプがあり,それぞれ現在は流派によって使用を異にしている。…
※「喝食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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