坂本龍一(読み)さかもとりゅういち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「坂本龍一」の意味・わかりやすい解説

坂本龍一
さかもとりゅういち
(1952―2023)

音楽家。東京生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科を経て、1977年(昭和52)同大学院音楽研究科修士課程修了。松本民之助(たみのすけ)(1914―2004)に作曲を師事。在学中に弦楽四重奏曲(1972)、『オーケストラのためのコンポジション』(1973)などを作曲。1978年、初のソロアルバム『千のナイフ』を発表。同年、細野晴臣(はるおみ)(1947― )、高橋幸宏(ゆきひろ)(1952―2023)とともにイエローマジック・オーケストラ(YMO)を結成しキーボード、作曲、作詞を担当。シンセサイザーを駆使したデビュー・アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』(1978)でセンセーションを起こした。アルバム第2作『ソリッド・ステート・サヴァイヴァー』(1979)も大ヒットし、国際的にも注目を集める。

 YMOの活動の一方で、ピアノ曲『僕自身のために』(1981)、合唱曲『小説』(1982)などの作品を作曲。YMO名義のアルバム『BGM』『テクノデリック』(1981)発表ののちYMOを解散、以後さまざまなメディアで多彩な活動を展開した。1983年には大島渚(なぎさ)監督の映画『戦場のメリークリスマス』に主演するとともに音楽を担当し、英国アカデミー最優秀映画音楽賞を受賞。ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『ラストエンペラー』に出演、音楽を担当して1988年にアカデミー作曲賞を受賞した。このほかイギリス映画『嵐が丘』(1992)、アメリカ映画『スネーク・アイズ』(1998)などの音楽を担当。現代音楽の技法とテクノロジーポップ・ミュージックに取り入れた活動に功績がある。

[楢崎洋子]

『大森荘蔵・坂本龍一著『音を視る、時を聴く』(1982・朝日出版社)』『吉本隆明・坂本龍一著『音楽機械論』(1986・トレヴィル)』『山下邦彦編著『坂本龍一・全仕事』(1991・太田出版)』『山下邦彦編著『坂本龍一・音楽史』(1993・太田出版)』『坂本龍一著『DECODE20』(1997・インプレス)』『『コンパクトYMO』(1998・徳間書店)』『後藤繁雄著『skmt坂本龍一』(1999・リトル・モア)』『山下邦彦著『楕円とガイコツ――「小室哲哉の自意識」×「坂本龍一の無意識」』(2000・太田出版)』『ソトコト編集部編『Elephantism坂本龍一のアフリカ』(2002・木楽舎)』『坂本龍一監修『非戦』(2002・幻冬舎)』『辺見庸・坂本龍一著、「小説トリッパー」編集部編『反定義――新たな想像力へ』(2002・朝日新聞社)』『坂本龍一・河邑厚徳編著『エンデの警鐘「地域通貨の希望と銀行の未来」』(2002・日本放送出版協会)』『キーボード・マガジン編集部監修『坂本龍一の作曲技法』(2002・リットーミュージック)』『坂本龍一著『Seldom-illegal 時には、違法』(角川文庫)』『坂本龍一・村上龍著『モニカ 音楽家の夢・小説家の物語』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「坂本龍一」の意味・わかりやすい解説

坂本龍一
さかもとりゅういち

[生]1952.1.17. 東京
[没]2023.3.28. 東京
作曲家,ピアニスト。「教授」の愛称で親しまれ,1978年に結成した音楽グループ,イエロー・マジック・オーケストラ YMOを通じてコンピュータやシンセサイザなどのテクノロジーを融合させたテクノポップを発表,社会現象を引き起こした。グループの活動休止後は映画音楽など多方面で世界的に活躍した。
幼い頃からクラシック音楽に親しみ,作曲を学ぶ。東京芸術大学に進学し,同大学大学院修士課程修了。1978年,ソロアルバム『千のナイフ』でデビュー。同年,細野晴臣,高橋幸宏とともに YMOを結成し,『テクノポリス』『ライディーン』などの楽曲をヒットさせた。また,中国の人民服に似たコスチュームや「テクノカット」と呼ばれるヘアスタイルも注目を集めた。1982年に YMOは事実上の解散を宣言。その後はソロとして活動し,『ビューティ』(1989),『1996』(1996),『BTTB』(1998),『async』(2017),『12』(2023)などのアルバムを発表した。映画音楽では,自身も出演した『戦場のメリークリスマス』(1983)でイギリス・アカデミー賞 BAFTA作曲賞を,同じく出演した『ラストエンペラー』The Last Emperor(1987)でアカデミー賞オリジナル音楽作曲賞とグラミー賞を受賞し,その後も数々の映画音楽を手がけた。1992年のバルセロナ・オリンピック競技大会の開会式では作曲を担当し,みずからオーケストラを指揮した。そのほか『LIFE』(1999),『TIME』(2021)をはじめとする舞台作品や,大韓民国(韓国)や中国でのインスタレーション展示などの美術の領域にも積極的に参加。環境・平和・脱原発活動や,音楽を通じた被災地の支援などの社会活動にも取り組んだ。

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知恵蔵mini 「坂本龍一」の解説

坂本龍一

ミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサー、社会活動家。1952年1月17日、東京都生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了後、78年「千のナイフ」でソロデビューし、同年に細野晴臣、高橋幸宏と共に「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、国内外にテクノポップのブームを巻き起こした。作曲家としても活躍し、83年の映画「戦場のメリークリスマス」で英国アカデミー賞作曲賞を、87年の映画「ラストエンペラー」では米国アカデミー賞作曲賞などを受賞した。90年、ニューヨークに移住し、米国の同時多発テロ(2001年9月11日)を身近に体験、環境・原発問題などにも積極的に取り組んでいる。09年フランス芸術文化勲章オフィシエ、10年芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。14年6月には中咽頭がんと診断されている。16年12月、音楽を担当した映画「レヴェナント:蘇えりし者」のサウンドトラックが、第59回グラミー賞の最優秀スコア・サウンドトラック・アルバム(映像作品)部門にノミネートされた。

(2016-12-8)

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百科事典マイペディア 「坂本龍一」の意味・わかりやすい解説

坂本龍一【さかもとりゅういち】

作曲家,音楽プロデューサー。東京芸大音楽学部作曲科卒。1978年細野晴臣,高橋幸宏と共に〈イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)〉を結成,テクノ・ポップの旗手として音楽のみならず,ファッション・映像・広告など幅広い分野に影響を及ぼす。1983年YMOの活動停止後はソロ活動を行う。映画《戦場のメリークリスマス》《ラストエンペラー》に出演,音楽を担当。現代音楽の手法と民族音楽の要素を巧みに駆使し多方面で活動,積極的な発言と独特な風貌から〈教授〉とあだ名される。父は編集者坂本一亀。歌手の坂本美雨は,歌手で元妻の矢野顕子との間に生まれた娘。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「坂本龍一」の解説

坂本龍一 さかもと-りゅういち

1952- 昭和後期-平成時代のミュージシャン。
昭和27年1月17日生まれ。昭和53年イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成,テクノポップブームをまきおこす。アカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞した映画「ラストエンペラー」では俳優として出演もするなど幅ひろく活動。平成21年フランス芸術文化勲章オフィシエを受章。22年「Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009」で芸術選奨文部科学大臣賞。25年ベネチア国際映画祭コンペティション部門の審査員となる。東京都出身。東京芸大卒。

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