塩を対象とする消費税。すでに古代ギリシア(トロイア,トラキアなど)で行われており,共和政下のローマでは塩専売制がとられていた。中・近世ではフランスのガベルgabelleが有名である。はじめは領主や国王が自己の領地で領主権にもとづいて徴収していたが,14世紀半ばに主として戦費調達の必要から王権にもとづく徴収が開始され,ルイ14世の塩税王令(1680)によって制度的確立をみた。塩売買の自由度,税率には大きな地域差があったが,王国の中心地域では塩は王立の塩倉を経由して公定価格で売買され,住民は塩倉で毎年一定量の塩(義務塩)を買って税を納めることを義務づけられた。塩税は間接税中最大の収入をあげたが,反面きわめて不人気で,16,17世紀にしばしば塩税一揆の原因となり,フランス革命の際に廃止された(1790)。まもなくナポレオンによって復活され(1806),1945年まで維持された。このフランスおよび独立(1581)後間接税(塩税も含む)を史上最も発展させた国といわれるオランダをモデルとして,イギリスやドイツにも塩税が導入された。イギリスでは長期議会によって塩税が開始され(1644),反対暴動があっていったん廃止され,クロムウェルが再建(1649)した後は長い間続いたが,1825年に廃止された。プロイセンでは1654年以来塩専売制がとられていたが,関税法改正を契機に全国的統一価格による専売制となり(1820),やがて塩製造税に変更された(1867)。
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執筆者:高橋 清徳
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